今回、そんなMVNOに参入するのが、ケイ・オプティコムである。

個人、法人向けに光ファイバーを提供しているケイ・オプティコム

ケイ・オプティコムは関西電力系列の通信事業者だ。関西電力のサービスエリア地域である近畿地方を対象に、「eo光」や「ビジネス光」といった光ファイバー事業を展開している。関西地方以外での知名度は低いが、こと関西においてはNTT西日本と並ぶ光ファイバー事業者として知られている。

事業も経営状態も順調であるケイ・オプティコムが、なぜ新規事業であるMVNOサービスに参入するのか。

藤野社長によると、今回の参入の背景には「近年の通信事業を取り巻く厳しい環境がある」のだという。

実は近畿地方は、前述したNTT西日本とケイ・オプティコムの激しいシェア争いもあって、全国でももっとも光ファイバーの普及が進んだ地域になっている。具体的には、近畿地方の光ファイバー普及率は約50%と、全国平均を約5%も上回っているほどだ。さらにADSLまで含めたブロードバンド全体でいうと、普及率は70%に達する。そうした状況では、今後は今までのように右肩上がりで成長するというわけにはいかないと藤野社長は分析している。

さらに、近年はスマートフォンの普及もあり、光ファイバーのような自宅の固定通信費が減少傾向にある。このため、次の時代の柱となりうる事業として、ケイ・オプティコムが選んだのがMVNOだったのだ。

もっとも、ケイ・オプティコムのMVNOサービス参入は、それほど意外でも突飛な話でもない。実は同社は以前から050番号が使えるIP電話アプリ「LaLa Call」を提供しており、これをもう一歩進めてMVNOサービスに進出した形だ。

さて、そんなケイ・オプティコムは、MVNOにおいてどういったサービスを展開するのだろうか。