- ライブ
Topsy買収とも関連するかもしれないが、アーティストのライブを配信するプラットホームという道もあるだろう。これまで、ロンドンで毎年行われたり、今年は春にオースティンでも行われたiTunes Festivalは、専用アプリをダウンロードすると、アーティストのライブをストリーミングで楽しめる仕組みだった。こうしたイベントだけでなく、iTunesの機能として広範に解放し、毎日ライブがiTunesで聴けるという展開は非常に興味深い。すると、ライブで聴いているリスナーたちのソーシャルメディアの反応などを活用する機会にもなる。
もう1点、ライブについては、音楽ビジネスの変化への対応という側面もあるかもしれない。これまでAppleはレコード会社と契約してiTunesに楽曲を揃えてきた。しかしインディーズの楽曲もiTunesで扱えるようにするなど、必ずしもレコード会社が必須な存在というわけではなくなっている。
同時に、世界的に人気のあるアーティストは、レコード会社ではなくLive Nationのようなライブ興業会社と契約し、ミュージックビデオはYouTubeで公開し、ライブで収益を上げるようになってきた。つまり、iTunesが旧来のレコードではなく、ライブと手を組む選択肢は、音楽ビジネスそのものをアップデートする良いきっかけになるだろう。
松村太郎(まつむらたろう)
ジャーナリスト・著者。米国カリフォルニア州バークレー在住。インターネット、雑誌等でモバイルを中心に、テクノロジーとワーク・ライフスタイルの関係性を追求している。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、ビジネス・ブレークスルー大学講師、コードアカデミー高等学校スーパーバイザー・副校長。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura