日本国内では、ライバル2社との比較で自社のサービスがいかに優れ、業績的にも世界企業に比するレベルにあることを強調するなど、「自社がいかに大きな存在か」を示すことに腐心している。

その見せ方に賛否両論はあるものの、ほぼNTTドコモの寡占状態にあった日本市場では競争が生まれ、今日では世界トップクラスのインフラを持ち、ユーザーは最新のハイエンド端末を「実質0円」で容易に入手できるなど、相応のメリットを享受できていると考える。ここ最近のプレゼンテーションの内容から「孫さんはすでに日本に興味がなくなった」といわれることもあるが、その実、すでに視線は米国市場ならびに、世界のトレンド発信基地ともいえる米国市場を攻略しての世界展開に向いているのは確かだ。

最近はNTTドコモやKDDIなど国内のライバルよりも、海外の競合各社を引き合いに出すケースが増えてきた。このスライドが典型だ

ワシントンDCでの孫氏のプレゼンテーションは、日本での状況とは逆に「いかにSprintとT-Mobileが単体ではひ弱で大手2社への対抗には力不足である」ことを示しつつ、T-Mobile買収後に「自分の力ならば米国で"真"の競争を巻き起こして大手2社を競争に晒し、ユーザーにとって魅力的なサービスを提供できるようにする」と日本での実績をアピールしていくことになると思われる。果たして、孫氏は関係者らを納得させられるだけのアピール材料を揃えることができるのだろうか。この経過は追ってレポートしていく予定だ。