人間とコンピュータ囲碁ソフトが対局する「囲碁電王戦」が16日、東京・日本棋院で開催された。

政界最強とも言われる小沢一郎氏

11日に続き、最強の囲碁ソフト「Zen」と対局したのは、政界最強として知られる小沢一郎氏とアマチュア日本代表の江村棋弘氏。江村氏は13路盤で3番勝負を行い、2連勝。小沢氏は19路盤で1番勝負を行い、こちらは激闘の末に敗北した。

日本代表の江村氏は3番勝負で危なげのない2連勝。対局後は長時間の正座で立てなくなる場面も

本稿では小沢氏とZenとの対局に焦点を当て、戦いの流れを解説していこう。今回も盤面解説にはiPhoneアプリ「日本棋院 囲碁フリー」を用いる。なるべく初心者にもわかりやすいように伝えていくつもりなので、囲碁を知らないという方もぜひその魅力に触れてみてほしい。

なお、囲碁電王戦は11日にも開催されており、こちらはプロ棋士の張豊猷八段と平田智也三段がZenを相手に4連勝している。囲碁の基本的なルールはそちらの記事で解説しているので本稿では割愛する。

小沢氏とZenの対局で用いられたのは19路盤だ。囲碁にはいくつかの大きさの碁盤が存在するが、この19路盤がもっともポピュラーな大きさである。先手後手を決める「握り」の結果、小沢氏が後手、すなわち「白」となった。なお、囲碁では先手が有利なので、最終的に白番の陣地に6目半(6.5ポイント)を加点して計算する。

19×19の線で構成される19路盤

プロや江村氏がZenとの対局に用いた9路盤や13路盤と比べて、19路盤の広さに驚いた方もいるかもしれない。囲碁ではどこでも好きに石を置けるので、候補は19×19の実に361通り。もちろん「このあたりがベター」というセオリーはあるが、それを考慮しても他のボードゲームよりも自由度は高い。囲碁では、だいたい3つのフェイズに分けてゲームの流れを組み立てていく。

そしていよいよ小沢氏対Zenの火蓋が切って落とされた。……続きを読む