――それが吹っ切れたのはどのあたりですか?
河野「転機になったのは、今年の5月にやった1stワンマンライブのときですね」
――1stワンマンライブはいかがでしたか?
河野「一言で言うと最高でした。これまではMCもすべて事前に全部考えて、そのまま忠実に再現していたんですけど、ワンマンのときは、自由に、そのときの雰囲気に合わせて言葉を発することができたんですよ。間奏での動きなんかもすべて事前に考えていたんですけど、お客さんひとりひとりの顔を見て、反応を見て、それにあわせて自由にできた感じがします」
――これまでのステージでは事前に台本を作っていたんですね
河野「けっこう綿密に(笑)。やはり緊張すると取りこぼしてしまうんですけど、それも踏まえたうえで計画を練ってました」
――1stワンマンのときも一応考えてはいたんですよね?
河野「当日まで考えていたんですけど、いざステージに立ったとき、音楽は生き物だなって感じたんですよ。生バンドだったのもすごく大きかったと思います。ミュージシャンの方々もマリナちゃんのライブを作るんだって、すごく矢印を向けてくれたので、自分のやりたいビジョンで、お客さんの反応を見ながら……。本当に隅から隅まで、ステージからの景色を覚えているぐらいに周りが見えていて、自然に曲と一体になれたという感覚があり、歌にもすごく心がこめられたんじゃないかと思っています」
――そしてついにリリースされる1stフルアルバムですが、タイトルの「First Touch」にはどのような意味をこめていますか?
河野「まずはシンプルに1stアルバムだから『First』。そして、新しい世界に触れていくこと、そしてこれまでに触れてきた世界を詰め込んでいくという意味で『Touch』ですね。『Touch』のニュアンスは、思い切って触るという感じではなく、ちょっと震えながらも勇気を出して踏み出していく、そんな感じが河野マリナらしいのではないかと思っています」
――アルバムは12曲中7曲がタイアップ曲になっていますが、今回はオリジナル曲を中心にお話を伺おうと思います。まずは5曲目の「MAGIC OF MUSIC」について教えてください
河野「『MAGIC OF MUSIC』は明るくて、弾むような感じの曲です。私自身の名刺みたいな曲で、これまで歌を通して、皆さんとコミュニケーションをとってきたわけですが、歌にして声に出すことで、自分の気持ちを伝えることができたと思っていますし、私自身も、歌うことでキラキラした世界に触れてこられたんじゃないかなって。そんなことを描いた曲になっています」
――特に気に入っているポイントはありますか?
河野「やっぱりサビの部分ですね。サビがすごくノリやすくて、踊りながら歌えるような曲なんですよ。本当に『踊るようにうたってる』という歌詞どおりで、とても気持ちよく歌えます」
――続いては7曲目の「Do!! Do!! Let me Fun♪」
河野「この曲のテーマは"お散歩マリナちゃん"なんですけど(笑)、そのテーマどおり、すごくやんちゃで、アソビ心のある曲ですね。すごく自由に動き回っているようなメロディラインだし、歌詞の中にもドレミが散らばっていて、とても面白いです」
――「Do!! Do!! Let me Fun♪」ってドレミファなんですね
河野「実はそうなんですよ。聴いていただくといろいろな発見がある曲だと思います。この曲はオケ録りのときが印象的で、オケ録りに参加してくださったミュージシャンの方も、すごく楽しみながら演奏してくださったので、曲を聴くだけでその雰囲気が伝わると思います。ギタリストの方が『音楽は一人でするものじゃない』っておっしゃっていたんですけど、本当にそのとおりだと思いましたし、それをすごく体感できた曲です」
――ちなみに"お散歩マリナちゃん"というのは……?
河野「何でしょうね? それがテーマらしいのですが、自分でもよくわかっていないです(笑)」
――お散歩は好きですか?
河野「大好きです! あてもなく歩き続けたりします。基本的には家にいる人なんですけど、ときどき音楽を聴くために外に出たりするんですよ。景色を伴って曲を聴きたいので。家だと景色が変わらないので寂しいじゃないですか。だから、音楽を聴くときは外に出かけることが多いのですが、最近はプチバス旅行にはまっています」
――プチバス旅行?
河野「最寄りの駅からいろいろなところに行けるバスが出ているんですけど、それに適当に乗って、終点まで行っちゃうんですよ(笑)。何の予定もない日はだいたいバス旅行です」