もっとも、「ただタイトルを増やせばいいというものではない」と友田氏は言う。「重要なのはお客様が"読みたい"本をいかに早く多くそろえるか。そのためにAmazonでは様々な施策を行っています」(同氏)。
電子書籍化にあたって、オリコンの週間"本"ランキングや紙の本の販売データなども参考にしているというAmazonだが、内部にも別の基準を設けている。それが「Kindle化リクエスト」の数字だ。
これは、「紙の本は販売されているが、Kindleストアではまだ販売されていないタイトル」に関して、読者から「Kindle化してほしい」という要望を送るシステム。この数字を確認しつつ、多くのリクエストが集まったタイトルについては優先的に電子化の要望を出版社に投げているのだという。
要望をもとに電子書籍化した実例
実際に「Kindle化リクエスト」からKindle化し、売上を伸ばした事例として友田氏は「失敗の本質」というタイトルを挙げる。
「失敗の本質」は1984年に発売された書籍で、現在でも売れ続けるロングセラー商品である。しかし、ロングセラーであってもベストセラーではないため、オリコンランキングなどに入ることもなく、当初はKindle化されていなかった。
しかし、この「失敗の本質」に関してKindle化リクエストが継続的に増加。今年2月には50位以内に入るなど、Kindle化に対するニーズがあることが判明した。そこで出版社と交渉し、「失敗の本質」を8月2日にKindleストアで販売開始。Kindle化リクエストしたユーザーにメール等で告知した結果、爆発的な売れ行きを見せたという。