NTTドコモからの発売、KDDIの800MHz LTEサポート

今回のiPhone発表で新機種以外に注目されていたのは、これまでiPhoneを扱ってこなかった日本のNTTドコモ、そして中国のチャイナモバイルの両者がiPhoneを発売するかどうかだった。ドコモはご存じの通り、日本最大の携帯電話会社で、6,000万加入を誇る。チャイナモバイルは世界最大の規模で6億人以上の契約者を抱えている。iPhoneのシェア拡大のために、この2社でのiPhone取り扱いは不可欠だった。

今回の発表では、NTTドコモでの発売が言及され、同社のロゴがスライドに表示された。これで、日本の大手携帯電話会社3社がiPhoneを扱い、料金やネットワーク、付加価値サービスなどでの競争が激しさを増すと見られる。これまでドコモはiPhone 5の人気に押されてナンバーポータビリティ制度での他キャリアへの流出を許してきた。こうした傾向を変化させる材料として注目されるが、他のキャリアから急速にユーザーを奪うことにはならないだろう。

ドコモによるiPhone販売がキーノートスピーチで正式発表

ドコモによるiPhone発売は、現在約3000万人が利用するiモードケータイのスマートフォン化だ。iモードケータイはLTEであるXiに対応していないため、ネットワークの次世代化にとって、iモードユーザーのスマートフォン化は必要不可欠な課題だ。

特に廉価版ながらiPhone 5の性能を引き継いでいるiPhone 5cは、現在まだスマートフォンを利用していないiモードケータイユーザーのスマートフォンへの移行の起爆剤になる可能性がある。また、Touch IDを搭載したiPhone 5sも、ドコモが得意とする法人向けの契約にとって、大きな後押しとなるだろう。

またKDDIにとっては、iPhone 5がこれまでサポートしてこなかった800MHz帯域で展開中のLTEをiPhone 5s/5cがサポートするという嬉しいニュースがあった。これまでKDDIのiPhone 5ユーザーはAndroidのLTE対応スマートフォンに比べて狭いエリアでの利用を余儀なくされてきたが、新モデルではより充実したエリアでLTEの高速通信を楽しむことができるようになる。

新機種の発売に際して、3キャリアのうち、目立った材料がないのがソフトバンクだ。長年iPhoneを扱ってきた経験から、販売やサポート体制などはよりスムーズに行われるのではないか、と予想される。またKDDIがiPhoneを販売しはじめたときと同様に、他社の動向を見ながら流出防止のキャンペーンを行うことになるだろう。

これまでドコモからユーザーを奪うサイドだったソフトバンクとKDDIが、ドコモへの流出をいかに防ぐか、という局面に変化したことも注目となる。