セキュリティ強化と新しい操作性のTouch ID
iPhone 5sに搭載された新しいハードウエアに「Touch ID」がある。これはガラス製に変更されたホームボタンに内蔵される指紋センサーだ。170ミクロンの薄さ、500ppiの解像度、360度読み取りが可能な指紋センサーによって、素早く指紋を読み取ることができる。
指紋の登録はiPhoneの上から簡単に行うことができ、複数の指紋を登録することもできる。登録した指紋は、A7チップの専用領域に暗号化されて記録され、他のアプリケーションやiCloudなどにコピーされることはないとしている。
発表会で示された現在の指紋センサーは、パスコードの入力なしでロック画面の解除を実現し、App StoreやiTunes Storeのパスワード入力の代わりとして使うことができる。iPhoneを使っていると、しょっちゅうパスコード、パスワードを入力している印象があるが、こうした入力の手間を省きながら、よりセキュリティを高める新しい使い方を提案することができる。
iOS 7では、iCloudキーチェーン機能が追加されており、ウェブサイトのユーザー名とパスワードの組み合わせ、Wi-Fiパスワード、そしてクレジットカードを保存しておくことができるようになった。これまで以上にiPhoneやiCloudがセキュリティに気遣うべき情報を扱うようになったことで、デバイスもパスワード以上のセキュリティの仕組みを取り入れた形だ。
一般ユーザーにとっても安心してこうした情報を扱うことができるようになるが、ビジネスユースでも市場を拡大させることができるだろう。例えば、生体認証を義務づけるセキュリティポリシーを持つ企業でもiPhoneを採用することができるようになる他、生体認証を利用するAPIが一般のアプリからも利用できるようになれば、本人確認を必要とするアプリの展開も実現するだろう。