――さて、そうはいったものの、自宅に固定電話を引いていない私としては、電話ができないのは本当に困る。自分からかけることはあまりないが、取引先からかかってくることはあるからだ。ということで、先方からの電話だけは出る、というルールで行うことにした。
幸いiPhoneはロックしたままでも電話に出ることはできる。なので、知人にロックナンバーを変更してもらえば、"電話にだけは出られるがそれ以外の機能は使えない"という状況を作り出すことができるのだ。
なお、メッセージアプリやLINEなども使用しているが、こちらはロック画面で「誰から連絡がきたのか」を確認後、PCから連絡を取るという方法で対処することにした。もともと友だちは少ないので特に問題はなかった。
1日目
そうはいっても、iPhoneがないならないで何とかなるだろう……そんな風に最初は思っていた。だって、ほんの5年前まではiPhoneのない生活を送っていたのだから。 だがそんな思いは、企画初日にして破られることになる。
まず困ったのが、出先で地図が見られないということだ。これまではどこに行くにも、アプリのGoogle Mapsを起動して住所なりキーワードなりを打ち込み、ナビゲーションしてもらっていた。それができなくなってしまったのだ。
ちょうどこの日はちょっとした用事で外出する必要があったのだが、そのことをすっかり忘れて出かけてしまい、はたと困ってしまった。
ついでにいうと、「乗換案内」アプリが使えないのも致命的だった。東京の路線は複雑なので、初めて行く駅への乗り換えは確認なしではかなり難しい。結局この日は駅員と交番のお巡りさんに道を聞くという方法で乗り切った。自分にとって「乗換案内」アプリは駅員、マップアプリはお巡りさんなのだということを改めて実感した瞬間であった。