――上さんは『ボーンフリー』では3枚目の役でしたが、『アイゼンボーグ』では2枚目の主人公です

「出来の良し悪しは別として、キャラクター的には3枚目のほうが演じていて面白いところがあります。『アイゼンボーグ』もそうですが、ヒーロー的な役どころになると、どうしても決めゼリフのようなものが多くなって、あまり感情が入れられない。感情移入を強くすると、何だかセリフがやわな感じになってしまうんですよ」

麻上「あまり遊べなくてつまらなかった?」

「いやいや。そんなことはないけれど、もうちょっと人間ドラマ的な何かがあれば、感情移入もできるし、面白く演じられたのではないかと思います。ただ、『アイゼンボーグ』はそういった作品じゃないですから」

――あくまでも子ども向けの作品ですからね

麻上「そうそう。『善みたいに生きなきゃ』って子どもたちに思ってもらわないとね」

――『アイゼンボーグ』では滝口(順平)さんなどがすごく楽しそうに演じていらっしゃいますが、現場の雰囲気はいかがでしたか?

「ベテランの皆さんは、本当に余裕を持って収録を楽しんでいらっしゃいましたね。それを見て、早く自分もそれぐらいのゆとりをもって収録に挑みたいと思っていましたけど、当時は自分のことで精一杯」

麻上「いつかは遊びながらってね(笑)」

――当時はお二人とも若手だったわけですからね

「そうですよ。まだまだ駆け出しで、わがままも言わず、やることをきちんとやらないと何もいえない。それは今でも同じですけど」

麻上「えっ、そうなの?(笑)」

「もちろんですよ(笑)」

――今あらためて演じると、またちがった善になりますか?

「やはり演じるたびに変わってくるところはあると思いますが、基本的なところはあまり変わらないんじゃないかな」

――変に遊んでしまうとダメな役でもありますよね

「そうそう。そういう役どころでしたから」

――そのあたりは愛も同じですか?

麻上「私はただ演じていただけなので……なんて言うと怒られるかもしれないですけど、ただただ楽しんで演じていました(笑)。アニメの声優という仕事が大好きだったので、本当は仕事をするところなんだけど、自分としては楽しいところに来ている気持ちが強くて。いろいろな先輩の演技を見ているのがすごく楽しかったし、ベテランの技に驚いたりしながら、すべてを感心しながら見ていました」