UEFIネイティブ対応でドライバも不要
RAIDR SSDの公称スペックは、シーケンシャルリードが最大830MB/s、シーケンシャルライトが最大810MB/s、4KBシーケンシャルリード時のIOPSが最大100,000 IOPS、4KBシーケンシャルライト時のIOPSが最大100,000 IOPSとなっている。インタフェース速度が600MB/s(6Gbps)に制限されるSATA 3.0対応SSDよりも高速だ。
また、RAIDR SSDの魅力の1つに、UEFIにネイティブ対応していることが挙げられる。UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)とは、BIOSに代わる新しいファームウェアだ。従来のマザーボードでBIOSが担当していた、起動時のハードウェアチェックや初期化、OS起動プログラムの呼び出し、OS起動後の基本的なハードウェアの制御を行う。
BIOSはPCにとって非常に重要なプログラムだが、1984年に登場したPC/ATから受け継いだ遺産であり、さまざまな制約がある。特に厳しいのがメモリ容量で、16bit CPUのIntel 8086互換のリアルモードで動作するため、最大1MBのメモリしか利用できず、高機能化するハードウェアへの対応が困難になってきた。
一方でUEFIは、ディスクの管理にGPTと呼ばれる64bit管理方式を採用しているため、2TBを超える大容量HDDを起動ドライブとして利用できる。加えてメモリ容量の制約がなくなるため、設定画面を従来のテキストベースではなく、グラフィカルで分かりやすいインタフェースにすることが可能だ(マウスも使える)。「セキュアブート」と呼ばれる、起動時のセキュリティを高める機能をサポートしていることもUEFIのメリットだ。
UEFIを利用するには、利用するハードウェアがすべてUEFIに対応しているだけでなく、OS側の対応も必要である。コンシューマー向けのWindows OSでは、Windows Vista SP1 64bit版で初めてUEFIに対応した。最新のWindows 8 64bit版では、UEFIブートへの最適化が進み、UEFI環境では非常に高速な起動が可能になった(Fast Bootと呼ばれる)。なお、Windowsでは64bit版のみがUEFIをサポートしており、32bit版はUEFI非対応であることに注意したい。
話を戻して、RAIDR SSDはAHCIにも対応しているため、Windows 7 / 8をインストールする場合(Windows 7 / 8以外のOSは非サポート)、OSインストール時に特別なドライバを導入する必要がない。通常のSATA接続のSSDやHDDと同じ感覚で利用できることも、大きなメリットだ(他社のPCI Express対応SSDカードは、SCSIとして認識され、インストール時にドライバが必要な製品が多い)。
UEFI環境へのWindows 8インストール
RAIDR SSDの真価をフルに活かすには、UEFI環境で利用するのがベストだが、RAIDR SSDは、従来のBIOS環境にも対応している。基板の端に用意されているスイッチで、UEFIモードとBIOSモードを切り替えることが可能だ。UEFIモード時には、スイッチの隣にあるUEFI LEDが点灯するので分かりやすい。
それでは、UEFI環境で、RAIDR SSDにOSをインストールする手順を紹介しよう。UEFI環境を利用するには、マザーボードはもちろん、グラフィックカードなどもUEFI環境に対応している必要がある。今回は、UEFI対応グラフィックカードを用意できなかったので、Core i7の統合グラフィックス機能を利用することにした。テスト環境は以下の通りである。なお、マザーボードの「GA-Z77X-UD3H」には、初期に出たrev.1.0と改良版のrev.1.1があるが、ここで利用したGA-Z77X-UD3Hはrev.1.0であり、最新のF19eにアップデートしてある。
■ テスト環境
CPU : Intel Core i7-3770K(3.50GHz)
マザーボード : GIGABYTE GA-Z77X-UD3H(Intel Z77 Express)
メモリ : DDR3-1600 4GB×2
OS : Windows 8 Pro 64bit
UEFI環境でOSをインストールするには、マザーボードでUEFIの設定画面を開き、起動ドライブをUEFI優先にする。Windows 8 Pro 64bit版のインストールディスクはUEFIブートと従来のBIOSブートの両方に対応しているので、起動ドライブをUEFI優先にする必要があるのだ。UEFIブートでインストールディスクを起動すれば、後は通常のWindows 8インストール手順と同じだ。Windows 8のインストールDVDから、RAIDR SSDへのOSインストールにかかった時間は約7分であった。