最後に質疑応答の時間がもうけられ、孫社長が記者団の質問に回答した。UQコミュニケーションズへの2.5GHz帯の追加割当を巡り、総務省に対して行政訴訟も辞さないとしている件については「非常に納得がいかない」と不満を漏らした。ソフトバンクでは子会社のWireless City Planning(WCP)を通じて、2.5GHz帯の追加割当を希望していた。
現在、Wireless City Planning(WCP)とUQコミュニケーションズは、ともに総務省から30MHz帯の電波の許認可をもらっている。しかしWCPの10MHz帯には制限がついており、今すぐには使えない形で許認可されたものだ。こうした状況下にも関わらず、今回UQコミュニケーションズに新規で20MHz帯が付与されることが決定した。これについて孫社長は「現状ではまだイコールフッティング(対等な条件)になっていない段階。にも関わらずまさか、ここまであからさまにアンフェアな決定はされないと思っていた。100歩譲っても、10MHzずつの割り当てになるべきだ」と発言。終始、穏やかな口調ではあったが、次から次へと恨み節が口をついて出た。
しかし行政訴訟に関しては「検討している段階」と慎重に話した。というのも「法的措置をとると、また後々いじわるをされる可能性がある。過去にも行政訴訟を行ったことがあるが、その後アポイントを申し込んでも一切通らないという経験をした。そのため事業に大変な支障をきたした」というトラウマがあるからだ。
とは言うものの「ソフトバンクグループは4,200万人のユーザーを抱えている」とし、 今後のためにも黙ってやりすごすわけにはいかないとの立場を示した。孫社長は「正式な認可の付与が行われるまでの間に、せめて公開ヒアリングの場をもうけてほしい。なぜ、こんな決定がされたのか。我々と、堂々と意見を闘わせてほしい。競合する2社は総務省のOBなど、天下りの役員を続々と経営幹部に受け入れている。しかし、ソフトバンクではそれを一切してこなかった。それが仇になったのでは、と個人的に思い込みつつある。しかし、損はしても正義は貫きたい。せめて、公開討論を」と訴えた。