――実際、1stから3rdまでのアルバムはおよそ1年おきだったのが、今回は2年以上の間があいてますからね
菊池「出したいという気持ちは常にありましたし、その間に何も出さなかったわけではない。さらに5周年ということで、ライブなどいろいろな動きもあったので、この期間は必然的なことだったのかなと。とはいえ、リリースの期間があけば曲も貯まっていくわけで、自分たちにとってはやや古い曲になりますが、アルバムという形になれば、聴く人によっては新しいものとして捉えてくれるかもしれない。さらに、もし全曲を新曲でそろえたら、曲が変わりすぎていて、3rdとのバランスがおかしくなったりもしますからね。そういう意味も含めて、今回のアルバムはバランスが取れているんじゃないかなって、自分の中では落ち着きました」
――表題曲の『未来スコープ』自体が、新曲ではないわけですからね
菊池「そうなんですよ。だから前の曲であって、今の気持ちでやると全然とらえ方が変わるし、歌詞が変わればメッセージも変わる。なので、自分たちで古いものを古いとするのではなく、今の気分で表現すれば今のものになる……そういったことが今回のアルバムではできたのではないかと思っています」
――1曲目、2曲目と新録曲が続いた後、既存曲を挟んで『catchlight』ですが、この曲順には何か意味がありますか?
micco「『catchlight』は、このアルバムの中では色物と言いますか……」
菊池「色物?」
micco「何と言えばいいのかわからないんですけど、ちょっとテイストが違うので、ここに入っています(笑)。アルバムの曲順は私が考えているんですけど、やっぱりこの並びだったんですよ。この並びがベストだし、この並びしか考えられなかった。特にこの『catchlight』に関しては、このあたりで聴いてほしいというイメージだけで、それ以外の意図的なことは特になかったです」
菊池「自分の気分なんだ?」
micco「気分ですね(笑)」
菊池「今回は、本当にこれしかないという感じでしたね。いつもは何パターンか作ってくるんですけど、今回はこの並びしかないといった決め打ちで、自分も特に異論はなかったので、この曲順に決まりました」
――このアルバムのために作ったという「風が吹く」はやや短めの曲になっていますね
菊池「普通の曲で終わるというのもありだとは思うんですけど、なんとなくmarbleのやり方としては、ちょっと余韻を残したいというのがあって、そのあたりを表現できるのって、このぐらいの長さだったり、このぐらいの歌詞だったりするんですよ。パキッと終われれば、それはそれで気分がいいのかもしれないですけどね(笑)」
micco「『未来スコープ』で始まり、最後にこの『風が吹く』を聴いて、それで出かけてもらえたらいいなって。"さあ、出かけよう"、そんなイメージの曲なんですよ。決して"さあ走り出そう"じゃなくて、"ゆっくり行こうよ"みたいな。marble的なゆるい感じです(笑)」
――新曲を中心に伺いましたが、既存曲で改めて注目してほしい曲はありますか?
菊池「たとえば『夢ぐも』と『水彩キャンディー』曲は、タイアップする作品に合う曲というアプローチで作っているので、ある意味、対極にある曲だと思うんですよ。それが一緒のアルバムに入っていて、なおかつ『smile』だったり『nora』だったりのアコースティックな部分もある。これは特に統一感を持たせることを考えずにアルバムを作った結果ではあるのですが、その振り幅が逆に面白いかなって思います。このアルバムで初めてmarbleを聴く人、これまで『夢ぐも』ぐらいしか聴いたことのない人が、ほかの曲を聴いたときに面白さを感じてもらえたらなって思っています。そういう意味では、このバラバラ感みたいなものが自分たちっぽいかなって」
――逆にそれがmarbleだと
micco「もちろん『夢ぐも』や『水彩キャンディー』も聴いてほしいのですが、『残像キセキ』とか『いつか明ける空へ』といったカップリング曲が、アルバムの中でいい味を出しているのではないかと思っています。『残像キセキ』は『puzzle』の後に入っているからこそ、すごく映えているような気がします。あと、『fluffy』は歌詞の中に"夢雲"という言葉が出てくるんですけど、この曲を作ったから『夢ぐも』というタイトルの曲を作りたいと思った、そんな経緯があるので、そんな流れをアルバムを聴きながら感じてもらえたらうれしいなって思います。決まったコンセプトがない分、いろいろなmarbleが聴けるので、初めて聴く人にとっても、バリエーションがあって聴きやすいのではないかと思います」