アプリ開発部門には5作品がノミネート!

後半戦はアプリ開発部門にエントリーされた作品から、5名のプレゼンターが登場。審査員やバイヤーを巻き込んで披露されるプレゼンターも現れるなど、非常に濃い発表となった。アプリ開発部門のトップバッターは、京都コンピュータ学院に在籍する前納一希さん。前納さんが開発したアプリ「Hist-tab」は、"学んだ知識と知識の隙間を埋める"というコンセプトのもと誕生した学習アプリだ。

プレゼンでは歴史学習にフォーカスされたコンテンツが盛り込まれており、Windows 8に盛り込まれたスナップ機能を用いて「人物」や「文化」など8つの項目ごとに「ながら作業」をしながら学習することが可能だという。ゆくゆくは、百科事典に掲載されているような様々な事象、データなどと連係させ、オールインワンでこのアプリで学習できるようにしたいと前納さん。しかし、プレゼンの持ち時間7分間を使い果たしてしまい、肝心のキモの部分を伝えることができなかったのは残念だ。

審査員やバイヤー企業を巻き込む術に長けていた前納さん。惜しむらくはアプリで得られるベネフィットが伝わりづらかった

Windows 8の特徴をよく捉え、さらに利便性を増すためにはどうしたら良いかが非常に考え込まれた前納さんのアイディア

次いで登壇したのは、同じく京都コンピュータ学院の1回生である青田幸恵さん。青田さんのアプリ「Peta!」は、アイディア出しやブレインストーミングの際に活用して欲しいアプリだという。通常のメモアプリや付箋アプリでは、"痒いところに手が届かない"と実感した青田さん、「かわいい」「カンタン」「自動保存」ができ、"原宿ポップ"な配色やデザインにこだわったという。昨年12月にリリースして以来、実際に使ってくれるユーザーが伸びていないという現状を鑑み、今後はより利便性が上がるような機能を追加、配色にこだわったアプリデザインのスキンを拡充させたいと、意気込みを語ってくれた。

付箋アプリやメモ帳といった無機質なものから、可愛くてカンタンにフォーカスを当てた青田さんのアプリ「Peta!」

アプリの細部にこだわりを見せた青田さんは、今後より多くの人に使ってもらえるよう様々なアップデートプランを語ってくれた

三番手は、「Book Aide」を披露してくれた本田修也さん。「読書はもっと豊かにできる」という意思のもと「Book Aide」は開発され、メモ機能、学習機能、検索機能を有しているという。「同じことを行うなら、紙でもいいのでは?」という声もあろうかと思われるが、そこはPCアプリ。登場人物など情報の種類ごとにグルーピングされ、目的の情報をすぐに探し出すことができる。本田さんもプレゼンで語っていたが、紙の場合せっかくのメモがどこに行ったかわからなくなってしまう、という問題を解決している。また、学習機能に関しては、自分でメモとして残したものを一瞬の操作で項目の内容を非表示に切り替えることができる。また、インターネットと連携してより深い意味や知識を得ることが可能となったアプリだ。今後、手描きメモ機能などを追加しブラッシュアップしていきたいとのことだった。

アプリの機能、特徴を簡潔に現し堂々とプレゼンする本田さん

実際の利用シーンをデモする本田さん。読書以外にも、様々な学習で活用できそうな広がりを見せるアプリだった

四番手は、人々のコミュニケーションの可能性を広げる「筆談パッド」をプレゼンする田中善之さん。実は田中さん、既にPNNという名義で様々なアプリを発表しており、なんと8万ダウンロードもの実績があるベテラン開発者なのだ。今回プレゼンする「筆談パッド」は、言語によるコミュニケーションの壁を打ち破ろうというもの。途中、ビデオによるアプリ機能紹介を交えながら筆談によるコミュニケーションの方法を説いてくれた。また、実際に審査員と「筆談パッド」を用いてコミュニケーションを図るデモンストレーションを行うなど、闊達なプレゼンを見せ来場したバイヤーから注目を集めていた。

聴覚障碍に悩む人、非日本語話者とのコミュニケーションを促進させたい。そのために「筆談パッド」を作成した田中さん

突如壇上を降り、審査員に実際に体験してもらうというデモを見せた田中さん

アプリ開発部門のラストを飾ったのは、桑原匠吾さん。「Touch8」と題されたアプリの目指すところは、あらゆるストアアプリを指先のジェスチャーで起動させるランチャーアプリだ。実際に実機に触れて「いちいちスタートメニューに戻るのが面倒」「秘密にしておきたいショートカットなど公にしたくないものをカンタンにアクセスできないようにしたい」といった自身のニーズから生み出したそう。

実際にデモではジェスチャーで天気アプリからファイナンスへダイレクトに遷移させ、シンプルな機能ながらも利便性を感じさせてくれた。また、将来的にはオトナだろうが子供だろうが、日本人だろうが外国人だろうが、直感的なジェスチャーを見出し、全世界・世代間の壁を越えて理解し使いこなせるUIを創り出したいと壮大な夢も語ってくれた。

堂に入ったプレゼンを見せる桑原さん。実機のデモを見せるなど、アプリの良さを伝えたいという心が現れていた

ゆくゆくは、「Touch8」で集積したジェスチャーを解析し、様々な用途へ転用したいと、大きな夢を語ってくれた桑原さん

以上でアプリ開発部門5作品のプレゼンテーションを終え、審査員齋藤氏より総評が述べられた。「元プログラマーとしての意見、現在ベンチャーキャピタルの人間としての意見を述べると、発想の概念が古い。二次元から三次元であったり、動画と音声を上手くミックスするなどデジタルならではのアイディアが欲しかった。また、発想自体に1対1ではなく1対nという考えを取り入れてはどうか」との意見も。