背面のボタンレイアウトは基本的に変わらないが、背面液晶パネルのタッチ方式はNEX-5Nの静電容量方式(スマホなどで採用されている)から、感圧式に変更された。新たにタッチAFやタッチシャッターを採用したことに関係があるのかもしれないし、間違って触れただけで画面が反応してしまうのを考慮したのかもしれない。さらにこれからの時期、手袋での操作も多いはず。感圧式なら、スマホ用手袋でなくても操作できる。
その反面、パネル感度が良好とはいえないという一面もある。ただ、コントロールダイヤルが使いやすいので、ボタンやキーとの組み合わせでの操作をメインとして、タッチパネルを補助的に使うのがオススメだ。なお、ユーザーインタフェースに関して欲をいえば、「NEX-6」同様のモードダイヤルを装備してほしかった。
撮影モードの解説画面。実際のボタンが素っ気ないぶん、画面の解説は分かりやすい。ほとんどの画面で方向キー、ホイール、ダイヤル、画面タッチと、好みのユーザーインタフェースが使える |
画面タッチでシャッターを切ることも可能。画面上で被写体にタッチして、ピントと露出を合わせるタッチAFも利用できる |
レンズキットには、新設計の標準ズームレンズ「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS」が付属。手ブレ防止機構付きながら従来の標準ズームの約半分の長さという、ミラーレスカメラにこそふさわしいコンパクトさが嬉しい。そのフットワークの良さに加え、広角端での歪曲収差や周辺光量低下などをNEX-5Rがすっきりと補正してくれるので、描写力も価格以上だろう。
また、αレンズ初の電動ズームを採用しており、鏡胴横のズームレバーで等速&スムーズなズーミングが可能。主に動画撮影時に活躍する。高速なズーム操作が必要な場合はレンズの操作リングを回すが、止めたい部分でピタッと止まらない感覚(わずかに慣性が付くような感覚)には慣れが必要かもしれない。個人的視点でより細かいことをいえば、ズーム操作に伴う鏡胴内部のゴロゴロッという振動も気になる。ただし、決してうるさいわけではない。なお、この操作リングは、MF時にはフォーカスリングとして機能する。
さて、NEX-5Rの大きな魅力のひとつが進化したAF回りである。従来モデルのNEX-5Nでは、コンパクトデジカメで使われるコントラスト検出方式AFが採用されており、精度は高いものの、その速度には不満もあった。だが、NEX-5Rはこれに位相差検出方式を組み合わせた「ファストハイブリッドAF」を搭載。一眼レフカメラで多く使われ、速度で有利な位相差検出AFを組み込むことで、合焦の精度と速度を両立させている。実際に操作してみると、十分に実用的な速さでフォーカスが合う。室内の撮影でも予想以上の合焦性能で、普通に撮影する分にはストレスを感じることはなかった。
ファストハイブリッドAFの恩恵は、速度だけではない。フォーカスエリアについても、マルチポイントでコントラスト検出方式の25点に加え、位相差検出方式の99点をフォロー。よりダイナミックな構図決めが可能になった。フォーカスエリアは、マルチポイントのほか中央重点とフレキシブルスポット(スポット選択)が選択可能。位相差検出方式のポイントは画面中央付近に集中しているので、走り回る子どもやペットを撮るときは中央重点を選択し、被写体を画面の中央に位置するよう意識して撮るといいだろう。画面上で被写体をタッチすることでピントを合わせ続けてくれる「追尾フォーカス」を使用すれば、失敗が減るだろう。
7000系ロマンスカーを連写で押さえる(オリジナル画像を見る) |
シャッター速度優先1/125秒で流し撮り(オリジナル画像を見る) |