第5章 Windows 8を支える機能たち - 機能向上したタスクマネージャー その2

興味深いのは、新設された<アプリの履歴>タブ。文字どおりアプリケーションの仕様履歴を用いて、どのタスクがコンピューターに負荷を与えているか確認するというものだ。ただし、対象となるのはWindowsストアアプリに限られ、従来のデスクトップアプリケーションは含まれない。例えば標準Windowsストアアプリの「天気」と同種のサードパーティ製Windowsストアアプリがあったとする。機能的に同等であれば、本タブからWindowsストアアプリの消費リソースを確認し、優劣を決めるといった場面に使えるだろう(図325~326)。

図325 <アプリ履歴>タブでは、Windowsストアアプリの使用履歴を確認できる

図326 表示項目は列部分を右クリックすると表示されるコンテキストメニューから取捨選択可能

<スタートアップ>タブも新設されたタブの一つ。システム構成(msconfig.exe)の同名タブと同じく、スタートアップフォルダーやレジストリに登録されたスタートアッププログラムが列挙される。ボタンやコンテキストメニューから無効にすることもできるが、ポイントは「スタートアップへの負荷」という項目。これを目安にWindows 8の起動速度を妨げるアプリケーションをあぶり出してほしい(図327)。

図327 スタートアップフォルダーやレジストリに登録されたスタートアッププログラムを列挙する<スタートアップ>タブ。個別に無効化することが可能だ

<ユーザー>タブは基本的に従来のタスクマネージャーと同じだが、表示項目として<プロセス>タブと同じハードウェアリソースの消費率が加わった。また、表示内容を展開すると、ユーザーレベルで起動しているタスクの一覧が現れる。ここから不要なアプリケーションを終了させることも可能だが、Windows 8は複数ユーザーの同時ログオンができないので、大きな意味を持たない。このあたりは複数ユーザーの同時サインインを許可しているWindows Server 2012向けの機能なのだろう(図328)。

図328 ログオン中のユーザーおよび消費リソースを示す<ユーザー>タブ。展開するとユーザーレベルで起動しているタスクが列挙される

<詳細>タブは従来のタスクマネージャーにおける<プロセス>タブに相当し、詳細なメモリ情報はこちらで確認できる。また、<サービス>タブも大きな変化は加えられいないが、コンテキストメニューから再起動を実行できるようになったは、地味ながらも便利になったと言えるだろう(図329~330)。

図329 <詳細>タブは、従来のタスクマネージャーにおける<プロセス>タブと同等の機能が備わっている

図330 <サービス>タブも大きな変更は加わっていないものの、サービスの再起動が可能になった

このようにWindows 8のタスクマネージャーは各所に改良が加わっており、全体的な利便性が向上してる。最小化時は通知領域に動的なグラフが表示されるため、サインイン時から起動する設定を施した方がいいだろう。具体的には「Shell:Startup」を実行して個人のスタートアップフォルダーを開き、ここに「Taskmgr.exe」のショートカットファイルを作成する。

この際ショートカットファイルの「実行時の大きさ」を「最小化」に変更しないとタスクバー上にボタンとして現れるため、忘れずに設定しておこう。これでサインイン時は通知領域にタスクマネージャーが常駐し、状態把握やシステム改善に役立つようになる(図331~336)。

図331 [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「Shell:Startup」と入力して<OK>ボタンをクリック

図332 スタートアップフォルダーの何もないところを右クリック。メニューから<新規作成>→<ショートカット>とクリックする

図333 ウィザードが起動したらテキストボックスに「taskmgr」と入力して<次へ>ボタンをクリック

図334 必要に応じてショートカットファイル名を変更して<完了>ボタンをクリック

図335 作成したショートカットファイルを選択して[Alt]+[Enter]キーを押し、ダイアログボックスにある「実行時の大きさ」のドロップダウンリストで「最小化」を選択。<OK>ボタンをクリックする

図336 これでサインイン時には通知領域にタスクマネージャーが常駐するようになった。マウスオーバーすると現在の消費リソースがポップアップする

なお、より高機能なタスク管理ツールを求めるユーザーは、Windows Sysinternalsの一つである「Process Explorer」をお勧めしたい。現在はMicrosoftでテクニカルフェローを勤めるMark Russinovich(マーク・ルシノビッチ)氏が作ったタスクマネージャーの上位版である(図337)。

図337 Process Explorerを使用すれば、システムの全体状況が把握しやすい

実行プロセスが呼び出し関係でインデントされるため、全体状態が把握しやすいのが特徴の一つ。また各プロセスはサービスやWindowsストアアプリアプリによって配色が異なるため、全体把握しやすいだろう。前述のようにWindows 8のタスクマネージャーも高機能がしているため、Windows 8を細部まで追いかけたいユーザーは両者を併用することをお勧めする。