――今回、3Dで制作されているのも小林さんからの要求だったと伺っていますが

小林氏「そうそう。最初は前回と同様に2Dのみで制作する予定だったんですけど、その当時、たくさんの映画が3Dで作られていて、映画館もそれに対応していくなど、3D化の流れがあったんですよ。その流れがさらに広がっていくのか、閉じていくのかはまったくわからない状況ではあったのですが、少なくともCG映画は確実に3Dに変わっていく流れだった。もし実写だったら、3Dにはしなかったかもしれませんが、さすがにCG映画を3Dで作っていないと、何か技術的に遅れている印象、ちょっと古い印象を与えてしまうとまずいので、『3Dで作りましょう』とお願いしました。いろいろと大変な作業が増えちゃうんですけどね」

――3Dとなると演出面も変わってきますよね

小林氏「3Dで作るといっても、遊園地のアトラクションムービーのようにただ物が飛び出せばいいというわけではない。100分の長編という点では、お客さんが疲れることなく、なおかつ迫力を感じていただける演出になっているのではないかと思います。特に奥行き感があることでアクションシーンの迫力が一味も二味も違ってきますね」

――『バイオ』ならではの怖い表現とともに、今回の映画はアクションシーンにも力が入っています

小林氏「監督も最初から『システマ』という格闘技を描きたいと言っていて、そのあたりは本当に迫力のある映像に仕上がっていると思います。あと、監督はミリタリーオタクなので、銃火器に対するこだわりも強いんですよ。なので、そのあたりもけっこう見所になっていると思います。僕個人としては、派手なアクションとドラマのシーンをバランスよく描くことで、観ている人も、ハラハラドキドキするところと落ち着いてドラマを追えるところのメリハリを作りたかったんですよ。そういう意味でも、今回の『ダムネーション』は、『バイオ』を知らない人でも楽しめる、ハリウッドのアクション映画のような要素がうまく盛り込めているのではないかと思います」

――小林さんは、さまざまな作品の映像化に関わっていらっしゃいますが、ゲームの映像化についてはどのようにお考えですか?

小林氏「やはりゲームにはできないことができるので映像は楽しいです。ゲームの場合、ストーリーをコントロールするのがすごく難しいんですよ。だって、プレイする人がどこでゲームを止めるかがわからないじゃないですか。たとえば『6』の場合、チャプターという区切りは作ってますが、チャプター1を今日やっても、チャプター2を明日やるとは限らない。1カ月後にやるかもしれないし、場合によっては1年後かもしれない。その期間を考えると、あまり複雑なことはできないんですよ」

――ストーリーを思い出すために最初からプレイし直すというのはあまり現実的ではないですね

小林氏「そういう意味では、連続していないという前提でストーリーを作らなければならない。TVドラマのように区切りを作って、また来週、みたいな感じですね。もちろん、そういった区切りをつけることによる面白さというものもありますが、やはり100分なら100分、連続してストーリーを展開できる映画は、魅力的なエンタメの一つだと思っています」

――ちなみに小林さんはゲームを作っている段階から映像化は想定されているのでしょうか?

小林氏「それはないですね。もちろん、映像化されたらいいな、ぐらいは思っていますけど、それを前提にすることはないですね。正直、『戦国BASARA』も最初に作ったときからアニメになったらいいなとは思っていましたが、それがすぐに実現したわけではない。『バイオ』も同様ですよね。映像化に対する想いはありますが、それに向けてあらかじめ準備をするようなことはないです」

――あくまでも声が掛かるのを待つ、という感じでしょうか

小林氏「もちろん、働きかけぐらいはしますけどね(笑)。最近で言うと『ドラゴンズドグマ』をぜひ映像化したいと思っていますが、積極的に動くかどうかは、タイトルによりけりですね。ただアピールだけは積極的にしておかないと、誰も動いてくれないですから」

――それでは最後にファンの方へのメッセージをお願いします

小林氏「フルCGの長編作品としては2本目になりますが、アクション面、ドラマパート、CGのクオリティ、そのすべてがパワーアップした作品になっていると思います。ぜひ3Dで観ていただきたいですし、3Dで観ていただければ、作り手の一人としてもすごくうれしいです。この作品がヒットすれば、また3作目が作れるかもしれないので、ぜひ皆さん映画館に足をお運びください。大ヒット、よろしくお願いします(笑)」:

――ありがとうございました


注目のフルCG長編作品『バイオハザード ダムネーション』は2012年10月27日(土)より2D&3Dで全国ロードショー。配給はソニー・ピクチャーズ エンタテインメント。公開館などの詳細は公式サイトをチェックしてほしい。

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