――「バイオハザード」シリーズは初代から制作に関わっていらっしゃいますから、特に思い入れが強いタイトルなのではないですか?

小林氏「思い入れは強いですね。だって、ほぼ僕の社歴と同じぐらい関わっていますから。ただ、『戦国BASARA』での露出が圧倒的に多いので、特に最近のファンの方にとっては『戦国BASARAの小林』なんですよ。だから、『え? 小林さん、バイオやってやんですか?」って言われたりして(苦笑)」

――そんな思い入れの強い『バイオハザード』をCG映画にしようと思ったきっかけは何だったのですか?

小林氏「『バイオ5』を別の人間が担当することに決まり、入社して以来、ずっと作ってきた『バイオ』から外れたわけですよ。外れてみて、あらためて『バイオ』のすごさを感じ、『4』の続きを作りたいなって思っていたときに、ソニー・ピクチャーズさんからCG映画を作りませんか? というお話をいただいた。それでカプコンとして一緒に作ることになったとき、当然ゲームチームはゲームの制作で忙しいので、じゃあ僕がやりましょう、と」

――小林さんにとっては良いタイミングで話が来たわけですね

小林氏「先ほども言いましたが、実写のほうも『2』から関わっていたので、僕が映画担当みたいな感じにもなっていたんですけどね(笑)。それで神谷監督に『4』の続きを作りませんか? ということで、A4の紙2枚ぐらいに概要をまとめて持っていったんですよ。それで監督からも了解してもらって、脚本の会議を始めた。なので、『ディジェネレーション』に関しては、僕からのお願いで『4』の続きを描くことになりました」

――『4』の続きを作りたいという希望が、ゲームではなく映画で実現した

小林氏「神谷監督は、ポール・W・S・アンダーソン監督みたいに、自分独自の世界観、ゲームとは違う世界観の『バイオ』を作りたかったわけではなかったので話も早かったです。監督自身もゲームのファンだったので、『ゲームの世界観でやりましょう』という話になり、『ディジェネレーション』が作られた。その流れを受けたのが今回の『ダムネーション』で、ここからゲームの『6』に繋がっていきます」

――CG映画の主人公がレオンなのは、『4』の流れを受けているからなんですね

小林氏「そうなんですよ。ただ、『ダムネーション』を作る際は、『今回もレオンが主役でいいですか?』と、あらためて神谷監督に相談しています。『ダムネーション』に関しては、僕自身にこうしたい、ああしたいという提案があったわけではなく、ただレオンを主人公にしたいなというぐらいだったんですよ。なので、もし神谷監督がレオンは嫌ですと言ったら、主人公が代わっていたかもしれない。結局、監督にもレオンで続きを作りたいという意向があったので、そのままレオンが主人公ということになっています」

――小林さん自身はレオンに対する思い入れが強いのですか?

小林氏「強いですね。もちろんクリスにも『1』からお世話になっているわけですが、やはり僕は『5』に関わっていないので、『2』『4』、そして『ディジェネレーション』で描いたレオンに対する想いのほうが強いです。だから『6』を作るときも、佐々木ディレクターに『悪いけど、レオンを主人公で』って(笑)。『6』にはクリスも出ていますが、それは佐々木ディレクターからの提案なんですよ。クリスとレオンが対峙しているイメージボードを持ってきて、『このシーンを描きたい』というので、クリスの出演も決まった。なので、最初からクリスが出ることが決まっていたわけではないんですよ。どちらかというと、僕はクリスを出したくなかったんですけど、これをやるなら面白そうだと思って、OKを出したという感じです」

――今回の『ダムネーション』ではエイダが出ているところも注目ですね

小林氏「エイダを出すことは、会議でも満場一致みたいな感じで決まったんですけど、実際にファンの方からも『エイダは出ないんですか?』って聞かれることが多かった。『ディジェネレーション』ではクレアでしたからね。で、監督も出してみたいということだったので、エイダの登場が決まりました」

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