――実際、アニソンとは何か? という定義は難しいですからね
菊池「marbleはデビューした時点でアニソンユニットということになっていると思うんですけど、最初の頃は、どうせアニソンでしょ、みたいな人が多かったんですよ。でも、そういうのって自分としてはすごく嫌で、アニメであろうと、実写のドラマであろうと、その作品に対して真剣に取り組むことが大事で、どんな作品であれ、自分たちの音楽が乗るわけですから、そこに責任がある。たとえばエンディングだったら、その曲を聴いて作品が終わるわけですから、作品をぶち壊すようなものには絶対にしたくない。あくまでも、自分たちの曲が、その作品の一部になるという意識のほうが強いです」
――たまたまその作品がアニメであると
菊池「そうですね。その上で、皆さんからアニソンユニットと受け入れてもらえるのであれば、その状況を全力で楽しんでみたいと思っています。marbleが演奏したら、その作品の絵が浮かんで、物語が浮かんで、そこに感情移入して……そうなるのがベストだと思っていますし、そういう意味では、デビューの作品が『ひだまりスケッチ』だったのは、とても恵まれたと思います」
――やはり作品の力は大きいですよね
micco「『ひだまりスケッチ』とともにmarbleも成長させてもらえたと思っていますし、2期、3期と続いてくれたおかげで、今度はどういうアプローチをしようとか、考えることも多かったです」
――続きモノの場合、同じモノは当然作れないですけど、全然違うモノを作るのも難しいですよね
菊池「そうなんですよ。1期が当たると、その分だけ2期のプレッシャーも大きくなりますね。曲に対して評価してくれる基準も、単純な良し悪しなのかどうかがわからないところもありますし、本当にすごく難しいです」
micco「そういう意味では、『さくらさくら咲く』ができたのは、『ひだまりスケッチ』のおかげかもしれません。まったくちがうアプローチを取ろうと思ったのは、やはり続いている作品だったからというのが大きいですね」
菊池「『ひだまりスケッチ』は、イメージアルバムを作らせてもらったり、いろいろな意味で自由にやらせてもらっている作品なんですけど、『さくらさくら咲く』のときは、3期ということもあって、当時は4期があるかどうかもわからなかったので、ちょうど一周回ったみたいな感じで、最初のオーダーは『芽生えドライブ』みたいなテイストの曲だったんですよ。ただ自分たちの流れの中では決して終わっていないし、最初に戻るのはまだ早いという思いと、今はもっと前向きに外に向いた音楽を作りたいという思いがあったので、『芽生えドライブ』のテイストだって言われているのに、全然違う曲を出して(笑)」
micco「まったく『芽生えドライブ』の要素がない曲ばっかり(笑)」
菊池「そうしたら、結果的にはみんなが面白がってくれて、これもありだねって感じになりました」
micco「たぶん、『さくらさくら咲く』みたいなmarbleは想像できなかったと思います。これまでに作ったことがない、自分たちも初めてやってみた曲だったので」
菊池「marbleにこの曲をオーダーするという発想はなかったと思います。そういった自分たちの気持ち、今はこういうのをやりたいという気持ちをリアルタイムに反映させてもらえる状況というのは、本当にありがたいなって思っています」
――少し話を変えて、アルバムのタイトルについてお聞きしたいのですが
菊池「これはmiccoが考えました」
micco「marbleの楽曲、特に今回収録している曲もそうですが、自分たちが大切にしている曲だったり、ファンの人が好きだと言ってくれたりする曲は、たいてい鼻歌交じりというか、軽い感じで作られた曲が多いんですよ。そういったすごく心地よい状態で作られた楽曲が入っていますよという意味を込めてつけたタイトルになっています。"風道"というのは風が通る道という意味ですね。あと、"花うた"には、皆さんの鼻歌になるくらい、アルバムの曲を聴いてほしいなって思いも込めています」
――花うたは"鼻歌"なんですね
micco「それに加えて、1年を花びら1枚として、やっと5枚の花びらが揃いました。でもまだもう少し咲かせたいです。そんな気持ちも込めた『風道花うた』です」
――ちなみに最後の"うた"をひらがなにしたのはなぜですか?
菊池「"うた"を漢字にすると、演歌か沖縄民謡みたいになるので(笑)」
micco「見た目のインパクト的なことも考えてひらがなにしました。最初は"ハナウタ"ってカタカナにしようとか、全部ひらがなにしようとか、いろいろと悩んだんですけど、この形が一番marbleらしいと思ったので」
――そのタイトルを聞いたとき、菊池さんの感想はいかがでしたか?
菊池「いいんじゃないって」
micco「基本、"いいんじゃない"、ですね(笑)」
菊池「変なものが来ないかぎり、いいんじゃない、ですね」
