――決して静かに座って聴いてもらうのは本意ではない?
菊池「もちろん、座ってじっくり聴いてもらいたい曲もあります。でも、やはりみんなが楽しみたいのであれば、自由にノッてくれたほうがいいんですよ。でも、そういうことが最初はなかなか伝えられなくて……。それをどうすれば音楽で伝えることができるのかということを考え出したのは、やはり2nd以降ですね」
micco「(1stアルバムの)『虹色ハミング』のライブが初めてのワンマンライブで、『芽生えドライブ』の頃は対バンしかやったことがなかったので、自分たち自身もライブに関しては手探りな感じだったんですよ。だから、この5年間、ファンの人たちからいろいろな意見をいただくことで、自分たちも大きく成長させてもらえたと思っています。これは本当に感謝するところですね」
――『芽生えドライブ』からアニソンという舞台に上がったことについてはいかがですか?
菊池「もちろん子どもの頃は観ていましたが、大人になってからはアニメをあまり観る機会がなかったので、アニソンというカテゴリーも意識していなかった。だから、イメージも先入観もなかったんですよ。それで、最初にお話をいただいたときに、当時のアニソンを聴いてみたんですけど、これはちょっと大変だぞって(笑)」
――何で話がきたんだろう、みたいな
菊池「そうそう。本当に大丈夫かなって思いました。なんの先入観もない状態で、好きにやっていいよって言われた結果が『芽生えドライブ』なんですけど、そういう意味ではムリに頑張らなくて良かったなと思います。もしアニソンということで頑張っていたら、たぶん3カ月ぐらいでいなくなっていたかもしれないです(笑)」
micco「すごくありがたいことなんですけど、タイアップでもあまり縛りがなくて、自由に作ってくださいって言っていただけるんですよ。『芽生えドライブ』のときも、『"虹"という言葉を使ってください』ぐらいしかなくて、あとはお好きにみたいな感じでした。そういう意味でも、本当に自由に作らせていただきました」
――今もそういった感じなのでしょうか?
菊池「今も変わってないですね。5年もやっていながら、いまだによくわかっていないと思うんですよ。アニメソングを本当の意味で理解したかというと、たぶんわかっていないし、そこを追求するという意識もない。意識せずに作った『芽生えドライブ』がアニソンとして受け入れられるのであれば、逆に自分たちの音楽を追求したほうがいいんじゃないかと。アニソンを研究して、アニソンとは、みたいなことを考えるよりも、marbleの音楽がそのままアニソンになるのであれば、marbleの音楽を追求したほうがいいだろうと」
micco「『芽生えドライブ』のCDの帯に"新しい形"って書かれていたんですけど、marble的には自分たちの流れで、やりたいことをやっただけだったんですけど、そういう風に帯で書いていただくことで、アニソンにはこういう形もあるんだよって、marbleを表に出していただけたことがすごくありがたかったです」
菊池「幸いなことに現在自分たちがいる環境は、アニソンに詳しい人がいっぱいいるわけですよ。その人たちが、marbleの作った曲に対して、『もうちょっとこうしたほうが、ファンに届きやすい』とか、いろいろなアドバイスをしてくれる。それを自分たちのフィルタを通して、自分たちの音楽に反映するというスタイルでずっとやってこれたわけですから、本当にすごく良い環境でやらせてもらえていると思います。『Lingering Fizz』もそうですし、今回のアルバムに入っている『朝はやってくる、short filmのように』もそうですが、どう考えてもアニソンでこういう曲を作ってくださいなんてオーダーはもらったことがないですし、自分で聴いてみても、これはアニメだと使いどころがないなって思うんですよ(笑)。そういう曲がいまだにできてしまうところは、自分の中でもまだまだ擦れていないなって感じる部分ですね」
micco「そういう部分のmarbleも聴いてほしかったので、今回のアルバムには、タイアップのない曲も積極的に入れさせていただきました」
菊池「すごく幸せなことだと思うんですけど、ファンの人たちからも『もっとアニソンぽいものをやってください』という声はない。もちろん、タイアップ曲は作品とリンクさせるように作っていますが、それ以外の曲も同じように楽しんでくれている状況があるので、今の感じを今後もつづけていけたらいいなと思っています」