HD化の恩恵は
今回のHD化にあたり、プレレンダリングのムービーはもちろん、プレイ画面中のキャラクター&背景がかなり明瞭に表示されている。特に『3』では顕著にこれらが見て取れ、プレイステーション 2版をプレイした人ならば、それだけでも感動モノだろう。また、サウンドはリニアPCM 5.1chに対応しているので、環境次第でさらに恐怖感が増したゲームを楽しめるはずだ。
ただし、ひとつ難点を言わせてもらえば、グレア(光沢)液晶では画面の暗い部分に自分の顔が映りこみ、気になってしまったことだ。笑いごとのように思えるかもしれないが、実際、細心の注意を払うプレイ中は背景の一部と勘違いしたり、身体を動かしてしまうと敵の出現か? なんて思ってしまうこともしばしば。特に『2』は画面の黒が占める割合が高いので、かなり気になった。これを回避するためにも、ぜひノングレア(非光沢)液晶でプレイすることをオススメしたい。なお、画面の明るさはオプションで変更が可能なので、プレイ環境に合わせて変更するといいだろう。
まだ遊んだことがない人にはオススメしたい1本
シリーズはこれまで、『サイレントヒル』『サイレントヒル2』『サイレントヒル3』『サイレントヒル4』『サイレントヒル ゼロ』『サイレントヒル シャッタードメモリーズ』のほか、国内未発売の『サイレントヒル ホームカミング』と数多くのラインナップを誇っている。感心するのは、物語は独立していてもシリーズをとおして関連性を匂わせる仕掛けが多々あることだ。例えば、ゲーム中に何気なく机に配置されているメモ書きが前シリーズのキャラクターが書いたものだったり、『1』と『3』が密接な関わりを持っていたりと、ファンにはニヤリと、または号泣(?)させられる仕掛けが数多く用意されている。
しかもそれが前作を未プレイであっても、ストーリー性を損ねない作りをしている点は、素直に製作スタッフに拍手を送りたい。また、これらの仕掛けの多くはファンサービスとしてもうれしいが、サイレントヒルを舞台としたシリーズ全体を考察をするうえでも興味を引くところであろう。
最後に、今回のHD エディションではゲーム内容に特に変更はない。『2』と『3』が1枚のディスクにカップリングされ、新しい要素としては前述のとおり、HD化と5.1chに対応し、トロフィー機能が付加されたくらいのものだ。しかし、往年の名作が4,980円という価格でまとめて楽しめるという点では、まだ未プレイのPlayStation 3ユーザーなら"買いの1本"となる魅力を持っている。
最新作『サイレントヒル:ダウンプア』も年内に発売が予定されているので、こちらを楽しみに待ちつつ、HD エディションでより恐怖感が増したサイレントヒルに足を運んでみてはいかがだろうか。
ゲームタイトル | サイレントヒル:HD エディション |
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対応機種 | プレイステーション 3 |
ジャンル | ホラーアドベンチャー |
発売日 | 2012年3月29日 |
価格 | 4,980円 |
CEROレーティング | C (15才以上対象) |
(C)Konami Digital Entertainment |