KDDIの被災地支援の取り組み
KDDIではこうした取り組みに加え、日本赤十字社を通じた10億円の義援金の拠出、被災者への支払期限の延長や料金減免、修理費用の軽減、東北6県のFM局などをPCやFlash対応スマートフォンで聞ける「LISMO WAVE」東日本大震災サイトの開設、au one netとSkype利用者の最大10万人にSkypeバウチャーの無料配布などを実施。また、福島第一原発避難区域の富岡町からの避難者のau携帯電話に対して、町役場からの避難情報、連絡事項などをCメールで一斉配信するサポートを4月中旬から開始。KDDI社員に対して、被災地ボランティア参加のために特別休暇を最大5日付与してボランティア活動を支援する。
KDDIの災害時の行動プログラムでは「社長の被災地視察は許されていない」(同)ため、田中社長はまだ現地を訪れていないが、近いうちに視察を行う意向だ。対策本部設置から10日間ほど、田中社長は帰宅できずに本部で指揮を続けていたそうだ。
復旧で「想定外」だったのが、車載基地局などの移動に使うガソリンの不足だという。自家発電用の経由などはあらかじめ災害時に調達体制を整えていたため用意できたが、ガソリン不足は問題で、秋田県からガソリンをピストン輸送し、さらに石川県や大阪府からタンクローリーで輸送したという。
損害額は「数百億円の前半、100億円ではない」(同)という程度しか明らかにされていないが、次の決算発表までに確定させる。
今夏の電力不足が懸念されており、「かなりの電力を基地局が消費している」(同)ため、これをいかに省電力化していくかがポイントになるようだ。主要な局舎には自家発電機を設置しており、これを使うことでピーク電力を引き下げられるかを検討していくとしている。
今回の震災では「アクセス網の切断はある程度想定できるが、電力が大きな影響を占めている」と田中社長は指摘し、停電による基地局の停止が問題だったという。移動電源車を用意しても、広範囲の停電では対応しきれない。これをどうするかは今後の検討課題として、田中社長は「大きな通信網を維持する企業として、基幹網を見直し、アクセス網は電力の観点からももう一度チェックする必要がある」としている。