固定通信のauひかり、メタルプラス、au one netの3サービスで合計39万回線が被害を受け、最大90%の通信規制が行われた。企業の固定通信ではVPN・専用線が13,642回線、インターネットが315回線の被害。さらに国際通信用の海底ケーブルにも被害が発生し、茨城県沖で3カ所、千葉県銚子沖6カ所、神奈川県沖1カ所で障害が発生した。

携帯基地局の被害と4月7日12時時点の復旧状況

個人の固定網の被害と復旧状況

企業の固定網の状況

国際通信の海底ケーブル

震災直後から、KDDIでは復旧に向けた行動を開始している。同社にはあらかじめ災害時の行動プログラムが決まっており、「災害対策本部立ち上げフェーズ」「情報収集フェーズ」「復旧フェーズ」「復興フェーズ」の4つのフェーズで被害からの回復を図るようになっている。3月11日14時46分の地震発生後、15時10分には災害対策本部・現地対策本部が設置された。災害対策本部長は田中社長で、現地対策本部は仙台に置かれた。16時には被害状況の把握と、車載型基地局・移動電源車の出動が指示され、16時50分にはそれが出発している。

震災時のKDDIの対応。災害対策本部は、運用対策本部、情報システム対策本部、現地対策本部から構成されている

現在は復旧フェーズにあり、携帯基地局は5月以降復興フェーズに入る

ここから復旧フェーズに入り、翌12日6時29分には固定通信の迂回措置が完了。13日3時21分には最初の車載基地局が宮城県の岩沼市立岩沼小学校に立ち上げられた。13日中には公共機関などに電話機の貸し出しが行われ、14日には移動電源車などへの燃料や救援物資を搬入。計10カ所で被害が発生した国際通信サービスは、15日15時9分に迂回措置を行い、サービスが復旧した。

この時点で「サービス面はほぼ復旧し、(基地局などの)アクセス面の修復に向かった」(田中社長)という。3月29日には最初の状況報告が行われ、この時点で携帯・固定ともに9割が復旧した。4月7日12時までに携帯は91%、固定は99%が復旧したという。4月末には携帯は96%、固定は99%まで回復。この時点で携帯は震災前と「ほぼ同等のカバーエリアが復旧になる」(同)という。