説明会に立った田中孝司社長

KDDIは8日、3月11日に発生した東日本大震災にともなう通信サービスの現状を説明し、被害の状況と現在までの復旧状況、今後の見通しを発表した。なお今回、会見の前日に東北地方で大きな地震が発生し、さらに大規模停電が起きたため、通信サービスにも新たな被害が発生しているが、基本的にはそれ以前の7日12時までの状況の説明となっている。

7日夜の地震の影響

7日23時32分頃に発生した地震では、8日10時現在で512局の基地局に障害が発生。停電による影響が486局、回線故障は26局だった。移動電源車を16台派遣し、3台がその時点で稼働していた。ただし、広範囲の停電によって1,462局がバックアップで動作しており、基地局のバックアップ電源は3時間程度しかもたず、停電が長引くとその数が増える可能性もあった。

震災発生から復旧まで

3月11日の地震とそれにともなう津波の影響で、KDDIのサービスでは携帯電話の基地局が東北6県で「約3,000局」(田中社長)のうち1,933局が被害を受け、最大で95%の通信規制を実施。震災直後は最大で通常時の8倍の発信、データ通信は5倍程度になったという。そのため、パケット通信は利用できる場合が多かったそうだ。停止した基地局も地震による直接の被害よりも電力が問題で、76%が停電による被害で、残りは津波の影響だったという。

震災前の岩手県の携帯エリア

震災直後、グレーの部分が被害を受けて停止した基地局。4月5日時点で、海岸線を除いて復旧。4月末にはさらに停止エリアを減らす

震災前の宮城県のエリア

震災直後の被害(グレーの部分)が大きい宮城県。しかし4月5日には多くの場所で回復

震災前の福島県のエリア

海岸線の被害が大きかった福島県。4月5日時点でグレーの部分は福島原発のエリア

実際の被災状況。釜石両国基地局(岩手県)は全壊、山田織笠基地局(同)も鉄塔が倒れている。海底ケーブルを陸揚げしているJIH仙台局舎は海岸線の松林が津波で倒れ、局舎に流れ込んで全壊した

東北道や中継伝送路の路肩に敷設された中継伝送路は切断。auショップも被害を受けた