キヤノンのPIXUS MXシリーズは、FAX機能とADFを搭載したインクジェット複合機だ。基本的には比較的小規模なオフィスへの導入を想定しているが、FAXのニーズがあるホームユーザーの間でも人気の高いシリーズとなっている。ここで紹介する「PIXUS MX883」は、自動両面読み取り対応のADFや、自動両面印刷を備えた上位モデルだ。

[製品名] PIXUS MX883 [インクシステム] 5色独立インクシステム(染料CMYBk+顔料Bk) [プリント解像度] 最高9,600×2,400dpi [スキャン光学解像度] 原稿台:2,400×4,800dpi、ADF:600×600dpi [イメージセンサー] CIS [最大用紙サイズ] A4 [FAX] G3/スーパーG3、カラー対応 [インタフェース] USB 2.0、10BASE-T/100BASE-TX対応有線LAN、IEEE802.11b/g/n対応無線LAN [本体サイズ/重量] W491×D448×H218mm/約11.7kg [店頭予想価格] 29,980円前後

有線LANと無線LANを標準装備

使用するインクは顔料Bkと染料CMYBkの5色で、全色独立カートリッジだ。写真印刷時は染料インクのみを使用するが、普通紙印刷では2種類のブラックインクを併用するW黒仕様となっている。ランニングコストの公称値は、L版の写真で1枚当たり約17.8円、A4普通紙のカラー文書で1枚当たり約9円だ。印刷解像度は9,600×2,400dpi、最小インクドロップは1pl、ノズル数は4,608と、PIXUSシリーズ全体の中でも上位のスペックを持つ。

原稿台と原稿カバー全体を持ち上げると、インクカートリッジにアクセスできる。重量があるので、青い柱のサポートユニットを立てて固定する。カートリッジにはランプが付いており、点灯で正常状態、点滅でインク切れを表す

用紙の給紙場所は2カ所ある。前面に普通紙専用の給紙カセットと、さまざまな用紙サイズ/種類に対応する後面の給紙トレイだ。PIXUSシリーズでは定番となった給紙システムで、異なる2種類の用紙を同時にセットしておけるのは、改めて便利だと実感する。給紙カセット、給紙トレイとも、容量は普通紙で最大150枚だ。給紙トレイに厚手の用紙(はがきなど)をセットする場合は、最大40枚となる。

給紙は2カ所。前面下部にある普通紙専用カセットの容量は150枚。フォト用紙などは後トレイにセットする。後トレイの容量は普通紙で150枚、はがきやフォト用紙で40枚だ

前面の排紙トレイは、閉じた状態でも印刷時に自動で開く。ただし閉じるのは手動だ

3種類のインタフェースを持つのも自由度が高くて良い。一般的なUSB 2.0、10BASE-T/100BASE-TX対応の有線LAN、IEEE802.11b/g/n対応の無線LANだ。ただし、有線LANと無線LANは排他で、同時に使うことはできない。

無線LANのセッティングは、各社の簡単接続設定に対応。バッファローのAOSS、NECのらくらく無線スタート、そしてWi-FiアライアンスによるWPSだ。もちろん手動でも設定できる

背面の左にはPC接続用のUSBコネクタ、10BASE-T/100BASE-TXの有線LANコネクタ、電話回線用コネクタが並ぶ。電源(メガネコネクタ)は背面右側だ

本体上面の原稿カバー部分は、ADFを含めたスキャナユニットだ。スキャナのセンサーは解像度が最大2,400×4,800dpiのCISだが、ADFを使用した場合の解像度は最大600×600dpiになる。ADFの給紙枚数は最大で35枚だ。ADFが両面自動読み取りに対応している点が大きな利点で、コピー、FAX、スキャナなどで、両面機能を幅広く活用できる。ドキュメントスキャナと比べて両面原稿のスキャンスピードは遅いが、紙の本をデジタル化する、いわゆる"自炊"にも使えるだろう(本格的な自炊には、やはりドキュメントスキャナをおすすめするが…)。

ADFを開いたところ。上部に原稿をセットしてその下の部分に排紙されていく

スキャナの原稿台。ADFを搭載することもあって、原稿カバーは少し重い。雑誌などを見開きで置いたときに、上から押さえつけやすいというメリットもある

グロス仕上げとマット仕上げが混在する本体には高級感がある。グロス仕上げの部分で指紋が目立ちやすいのは仕方ない

本体サイズはW491×D448×H218mmで、従来モデルと比べて高さが10mmほど低くなった。排紙トレイや後トレイを開くことを考えると、余裕を持った設置スペースが必要だ