画像を重ねることで一眼カメラのように背景をぼかす

人物に焦点を当て背景をぼかすポートレート撮影は、大きなイメージセンサーと明るいレンズを使うデジタル一眼などの得意ジャンルだった。しかし、サイバーショットは2枚連続して撮影をし、被写体と背景の距離情報を割り出して合成。背景にぼかし処理をして仕上げるという「背景ぼかし」機能でこれを克服した。

背景ぼかし機能は、シーンセレクションの中から選択する。ズームを繰り出して撮影倍率を変えると、随時最適な被写体との距離が画面に表示され、それに合わせて人物を配置するときれいに背景がぼけるようだ。もともと開放F値2.4という明るいレンズでぼけやすいWX10だが、この「背景ぼかし」機能を使うとさらに効果的だ。以前から搭載されているこの機能だが、WX10でのテスト撮影では以前のモデルよりも良好な結果が得られた。髪の毛や服などの境界も自然な感じでぼけている。このぼけ具合はメニューから3段階で選択できるようになっている。

また、同じぼけでも距離情報ではなく人物認識によって肌をきれいに仕上げる「美肌」モードがある。この機能は、特に被写体が女性の場合に喜ばれそうだ。この「美肌」具合もメニューから3段階で選べるようになっている。

暗所で能力を発揮する裏面照射型CMOSセンサーと明るいレンズ

新開発の裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R(エクスモア アール)」と開放F値2.4という明るいレンズの組み合わせで、暗い室内や夜景などに強い"高感度"を前面に推しているWX10。その実力はどのくらいかと、夜景を撮影してみた。

まずは試しと、プレミアムおまかせオートでシャッターを切ってみると、パシャパシャと数枚の撮影。これは「手持ち夜景」モードになっているため。ブレを押さえるため速いシャッタースピードになり、露出が足りない分を数枚から合成する。ストロボを使用せず、何の気なしに手持ちでシャッターを切ったが、思いのほか明るくきれいな画像に仕上がっておどろいた。

次にきちんと三脚に据えて撮影。肉眼でもそれほど明るくない夜景だったが、かなりきれいに描写している。通常、暗い環境のためISO感度を上げていくとノイズが増え、ザラザラした画像に仕上がってしまう。WX10では感度が上がるとノイズリダクションが働き、粒状感を無くす代わりにノッペリとした塗り絵調に仕上がる。パソコンで拡大してみるとさすがにそれがわかるが、そもそも解像度が16Mピクセルという大きな画像であることを考えると、あながちダメというわけではない。A4サイズまでのプリントであれば、そのノッペリ感はほとんど出てこない。パソコン上でもその解像度で使うこともあまりないだろうし、縮小してしまえばいい。そう考えれば、かなりISO感度を上げた撮影も思い切ってチャレンジできる。

「背景ぼかし」をチェックした。これはぼかしなし。撮影モードはポートレートになっている。

「背景ぼかし」ありで撮影。もともと遠景のぼけはあるが、より一層人物が引き立つように仕上がった。細かい髪の毛の部分など、結構きれいに処理されている

高感度ノイズ(ノイズリダクション)をチェックした。以下は赤枠の部分をトリミングしたもの

ISO 100で撮影。画像はきれいだが、この光線では暗くなってしまう

ISO 200で撮影。まだ明るさが足らない

ISO 400で撮影。やっと露出が安定してきた。画質もとてもいい

ISO 800で撮影。これもISO 400とほとんど変わらない。このあたりが常用の限界だろう

ISO 1600で撮影。ディテールが溶け始めている

ISO 3200で撮影。のっぺりした画像になった。この光線ではノイズは気にならない