早朝訓練を見届けた
1月27日。翌朝は朝6時15分に起床。6時30分に朝の点呼が行われた後、候補生たちは朝食前に1時間ほどの早朝訓練をこなすため、6時35分には、走路上に集合した。
このとき、外気は氷点下。まだ太陽も昇っておらず、周囲は真っ暗。そのなかでの早朝訓練となる。訓練といっても、走行訓練前の入念な体操といったところで、国旗掲揚を行った後に、声を掛けながら走路の外周を3周、計2,400mをランニングする。それが終ると、再び声を出しながら、ストレッチ、腕立て、腹筋、背筋などをこなすメニューとなっている。
その間、教官からはしきりに「お前ら声が出てないぞ!」と檄が飛ぶ。しかし、どう考えても声は出ていたので、大きくなる様子はない。
このあたりは、教官も何となく「言っておかねば……」的な雰囲気があるのだろうか。それよりも、体を動かさねば、何かをしなければ、「とにかく寒いので、とりあえず言ってみた」的な感じにしか聞こえなかった。
それだけ寒かったのは事実だ。特に、腕立てにいたっては、冷えた走路が手のひらを伝い、体を冷やしていく。これが夏ならば、さわやかな朝の体操になるのだが……。
写真で見るお食事&走行訓練
さて、早朝訓練を終えると、朝食、走行訓練、昼食、走行訓練と続くが、これ以上訓練について記すほどのことはない。養成所生活5カ月目ともなれば、みな慣れたもの。きびきびと、かつ淡々と訓練をこなしていったからだ。訓練の様子は以下の写真で雰囲気を感じてもらうのが一番だろう。
9カ月間じゃないですか?
で、結局のところ、養成所を取材して心に何が残ったか。少しばかり厳しそうな感じに綴ってみたが、本心はその逆だったりする。つまり「何とかなるかも!」という感覚だ。厳しい姿を見たのも、掃除の時間に遅刻してきた候補生が20分ほど正座をさせられていた姿だけ。少なくとも鉄拳制裁はなかった。
もちろん、候補生たちの受けている訓練や規律に満ちた生活が生ぬるいとは言わない。命がかかった仕事になることも確実だ。
しかし、候補生たちが選手になれば、平均年収1300万円という、一般的なサラリーマンの感覚からはかけ離れた報酬が待っている。若手であっても、そこから十分すぎるほど上積みは可能だし、オートレーサーの場合、60歳を超え、今なお、第一線で活躍するレーサーが何人もいる。生涯的な報酬はサラリーマンよりも断然上になるということだ。
もちろん、命がかかっているからこそではあるが、高額報酬を考えれば、9カ月間、食事の時間が5分だろうと、お風呂が10分だろうと、娯楽が許されないというのは、正直なところ我慢できる範囲にあるのではないかと思えてならなかったのだ。
そこで、オススメしたいことがある。それはオートレーサーになるということ。オートレーサーになるために、視力・体重などの制限はあるが、年齢制限はない。9カ月間、ある程度の不自由なら我慢できるという方! オートレーサーを目指してみてはどうだろうか。
さて、次のページからは、佐藤摩弥、坂井宏朱候補生の声をお届けしよう。今、何を思い、日々をどう過ごしているのか。養成所のリアルを話してもらった。……つづきを読む