消費電力(グラフ45~48)

最後に消費電力の比較である。今回はIdle状態と、3DMark Vantage/3DMark11のゲームベンチマークをそれぞれExtreme Settingで実施し、この際の最大消費電力を測定した。

グラフ45

グラフ46

まずグラフ45と46がシステム全体での消費電力の絶対値そのものである。概してPhenom IIの方がどうしても消費電力が大きいのは致し方ない所であるが、それは置いておくとすると、消費電力はグラフ45・46を通じて、

Radeon HD 6950 < Radeon HD 5870 < Radeon HD 6970 < Radeon HD 6950 CF < Radeon HD 6970 CF

といったところ。さすがにRadeon HD 6970のCrossFireは飛びぬけて高い印象があり、これに比べるとRadeon HD 6950のCrossFireはGeForce GTX 580よりは大きいものの、まだ現実的(Radeon HD 6970のCrossFireに比べて100W低い)という感じだ。ただGeForce GTX 580が概ね300Wという拡張カードの消費電力枠ぎりぎりだとすると、Radeon HD 6950のままCrossFire化すると、明らかに300Wを超えることになるので、Radeon HD 6990は消費電力の観点からももう少し動作周波数を下げるだろうと予測される。

グラフ47

グラフ48

グラフ45・46をもう少し見やすくするため、Idle時とフル稼働時の消費電力差をまとめたのがグラフ47・48である。こちらは実際にはCPUの消費電力なども少なからず含まれる(それがゆえに、グラフ47と48を比較するとグラフ48がやや高めになる)分けだが、こちらを見るとまずRadeon HD 6950の省電力性の高さが特筆すべきだろう。同じプロセスを使いつつ、実効性能を引き上げながら稼動時消費電力をRadeon HD 5870とほぼ同等に抑えたわけで、これは賞賛されて良いと思う。ただ良く見るとCrossFire時の消費電力差が、Singleの場合の2倍を超えているケースが目立つ。これは要するにCrossFireを構成するためのCPUの余分な負荷の分と考えられるわけで、これが無視できないというのは問題だろう。

一方のRadeon HD 6970であるが、GeForce GTX 580に比べればずっと消費電力は少ないとは言え、Radeon HD 6950に比べれば単体で40W~50、CrossFire時には100~120W増えており、その意味では結構電力食いであることは間違いない。もちろん同じプロセスを使う限り高性能=高消費電力という呪縛から逃れるのは不可能であり、その意味ではほぼ性能に見合った消費電力という言い方もあるのだろうが、GeForce GTX 580との性能差を考えるともっと省電力でも良い、逆に言えばもう30W消費電力を増やしてもいいからGeForce GTX 580に比肩しうる性能まで引き上げてほしかった、という気がするあたりがちょっと残念なところだ。