「今までは、例えば時刻表が知りたいならそのページを見るというように、明確な動機がありました。逆に、アプリの場合は、何か面白いものを探している途中にたどり着くことが多い。セカイカメラのようなアプリは、まさにそうですよね。その中で、ビューンをどう目立たせていくのかは、難しい問題です」
これらは「分母が増えれば、どちらも簡単に解決できるが、立ち上げ段階ではどこも苦労する」ポイントだ。価格が低く、ユーザーが少ない初期の場合は、マス広告も予算上展開できない。アプリのアップデートも、サービス継続の障壁になる可能性があり、「バージョンを上げても、全てのユーザーがダウンロードするわけではない」という。「こちらが思うようにスケジュールを組めないのも、もどかしい」そうだ。
Androidや他キャリアへの展開
このように、ビューンへの取り組みはまだまだ始まったばかりだ。iPad版やiPhone版が、ビューンの全てではなく、むしろ、これからのマルチデバイス展開に向けた布石と見た方がよいだろう。iPad版からリリースしたのは「準備していた頃にたまたまアップルがiPadを発売することになった」ためで、ビューンは当初からマルチデバイス展開を想定していた。10月に、通常の3Gケータイでサービスを開始したのも、デバイス拡大の一環だ。
「10月に開始したばかりですが、ケータイ版はどちらかというとメールが主眼です。この瞬間にこれぞというものをいくつか選び、中身もベタベタに最適化して、ケータイに送っています。ポンと同じものを置いても、デバイスの差は乗り越えられません。ですから、ケータイではまずケータイ向けに最適化されたコンテンツを置き、ワンプッシュすればFlashで元々の記事を読むことができるようにしています」
メールでコンテンツを送るという発想は、蓮実氏が手がけた「選べるかんたん動画」というサービスにも共通している。このノウハウも「モロに生きている」という。蓮実氏は「いかに飽きさせないかという課題も、ケータイなら簡単に解決できる。本当はiPadやiPhoneでもやりたいぐらい」と語る。特にiPhoneは、ケータイよりも大きいとはいえ画面はわずか3.5インチで、雑誌や新聞よりははるかにコンパクトだ。最適化を図る上で、ケータイのノウハウが生きる可能性は十分ある。