画像を合成してブレやノイズを低減する
NEX-5の特徴のひとつは高速連写して画像を合成する機能。なかでも「人物ブレ軽減」モードと「手持ち夜景」モードはスゴイ。この機能のためにNEX-5を買ってもいいくらいだ。とくに「人物ブレ軽減」は子ども撮影に最適&最強の機能だと思った。
どちらも高速連写で画像を1枚に重ね合わせ、高感度撮影でもノイズを減らす。さらに人物ブレ軽減モードは、動いている人物と背景を重ね合わせることで、手ぶれと被写体ぶれの両方を抑えてくれる。ただし、この2つは設定のルートがちょっと違っていて、「人物ブレ軽減」は撮影モードのひとつなので、ダイヤルを回して選ぶだけ。「手持ち夜景」は「シーンセレクション(SCN)」モードにあるので、手順がひとつ増えることになる。だから夜景でもつい「人物ブレ軽減」を選んでしまうのだが、それでも十分効果はある。
実際に試してみたが、デジタル技術はここまで進化したのか! と驚いた。外灯しかない公園でも手持ちで撮影できてしまう。通常のカメラでは感度を上げても対応できず、三脚やフラッシュが必要になる。そんなシーンでも手持ちで撮れるのだ。もちろん昼間の撮影ほどきれいなわけではなく、画質は多少粗くなる。しかし子どもの写真は子どもが主役。キレイな写真でも、子どもがつまらそうなら写真もつまらない。多少暗くても子どもの伸び伸びとした表情が撮影できるこれらのモードはちょっとすごい。
画像合成を利用したもうひとつの機能が「オートHDR」。明るさ(露出)を変えながら3枚の画像を取り込み、それを重ねることで明暗差の大きなシーンでも階調をしっかり出す機能だ。ただ、子どもを撮影した限りでは、あまりフィットしないように感じた。コントラストがゆるくなるのと、表情の変化がそのまま重なり、ぶれたような感じになってしまうためだ。テーブルフォトや街の写真などで真価を発揮するように感じた。
暗い街灯しかない条件で「ブレ軽減」モードで撮影。手持ち(フラッシュなし)でも普通に撮影できた。シャッター速度は1/4秒 |
同じく「ブレ軽減」モードで花火を撮影。花火の明るさもあって、とてもきれいに撮影できた。シャッター速度は1/13秒 |
今度は「手持ち夜景」モードで花火を撮影。手前の花火が明るいためか、シャッター速度は1/200秒まで速くなった |
通常のフラッシュ撮影。手前の子どもはきれいに撮れるが、背景はやはり暗くなってしまう |
「オートHDR」を試してみた。これはHDRを使用しない状態。逆光気味だが、ちゃんと顔も写っている |
「オートHDR」をオンにして撮影。暗い部分が明るくなっているが、メリハリが不足しているようにも見える |
単焦点レンズでもズームが使える プレシジョンデジタルズーム
「プレシジョンデジタルズーム」は、パンケーキレンズ「E16mm F2.8」で使えるデジタルズーム機能。ズームレンズでは使えない。つまり、レンズはコンパクトなパンケーキレンズがいい、だけどズームもしたい、という場合の機能だ。
プレシジションデジタルズームは、10倍までの拡大が可能だが、画像を拡大処理しているわけだから、あまり倍率を上げると画質は悪くなる。それが気になるなら、2~3倍までにしておくのがいい。これならほとんど劣化は気にならない。
この機能を使うにはメニュー画面から「カメラ」→「プレシジションデジタルズーム」を選び、さらに倍率を指定してから撮影する。
メニューから「プレシジョンデジタルズーム」を選ぶと、右側に倍率のインジケーターが表示される |
「プレシジョンデジタルズーム」は単焦点レンズを使う時に便利 |
以下、プレシジョンデジタルズームを使い、中央の部分をトリミングしたもの |
スタンダードでもとてもきれいな絵づくり・色再現
色や絵づくりについてもちょっと触れておくと、NEX-5の画像はとてもきれいな、印象的な画像だ。色をちゃんと乗せつつ透明感のあるもので、「α700」からの流れを感じるもの。少し露出を上げれば、フンワリ明るい光を作ってくれる。
また、クリエティブスタイルで「ビビット」や「風景」などを選ぶと、色の濃さや絵づくりが変えられるが、「スタンダード」でも十分に色が乗るので、変更する必要はないと思った。もちろん「夕景」や「白黒」でまったく違う写真にするのはかまわないし、これはこれで楽しいものだ。