キレイな写真を残すために、一眼レフカメラに挑戦したいと思っても、デジタルコンパクトカメラに比べてはるかに大きく、重いボディに躊躇してしまうもの。しかしこの6月に登場したソニーのレンズ交換式一眼カメラ「NEX-5」と「NEX-3」は気軽に持ち歩けるコンパクトなボディが特徴。これなら使いこなせるかもしれない。ここでは先のレポートに続き、子ども撮影を中心に画質やパフォーマンスをチェックしてみた。
キレイな顔は当たり前! ボケの量も自由自在
子どもの夏休みが始まり、旅行などで写真を撮る機会は多くなるはず。普通の使い方なら、圧倒的に撮影することが多いのは人の写真だろう。すると「顔」がキレイに撮れることはとても重要だ。しかもできるだけ面倒な設定は避けたいところ。そこでオート(自動)モードでの子ども撮影を試してみた。
NEX-5にはモードダイヤルはないが、メニューから「撮影モード」を選ぶとダイヤル風のイラストメニューが出てくるから、そこから「おまかせオート」を選べばいい。「おまかせオート」では撮影シーンをカメラが判断し、風景なら「風景」に、被写体に近づけば「マクロ」に自動で切り替えてくれる。人物ならもちろん顔認識が機能する。
実際に「おまかせオート」で撮影してみると、逆光の状態では「逆光&人物」に変わり、人の顔がちょうどいい明るさになるように合わせてくれた。夜景での撮影では「夜景&人物」に切り替わる。難しい状況下での人物撮影にも対応してくれるのがありがたい。
人物撮影では、背景をぼかすというテクニックもよく使われる。普通は撮影モードを絞り優先AEにして絞りを調整するのだが、NEX-5なら「おまかせオート」のままこれが可能だ。撮影時にコントロールホイール中央のボタンを押すと、「背景ぼかしコントロール」が選択され、ホイールを回すだけでぼけの強さが調節できる。背景をぼかした写真は写真の基本でもある。これがオートモードのままで簡単にできるのは、とてもいいと思った。
NEX-5はモードダイヤルを持たないが、メニュー画面から「撮影モード」を選択すると、他のカメラと同じようにモードが変更できる |
撮影モードの変更。右側に機械的なダイヤルに似せたアニメーションが表示される。これは「おまかせオート」の選択 |
「おまかせオート」の撮影画面。これは撮影距離が近いので、自動的にマクロモードに切り替わった |
逆光の状態で「おまかせオート」のまま人物を撮影。顔を認識して、自動的に露出が明るめに設定された |
同じように「おまかせオート」で撮影。顔の半分に直射日光が当たっている難しい条件だが、きれいに撮影できた |
これは絞り優先AEの画面だが、「おまかせオート」のままでも「背景ぼかし」で同じように絞りの操作ができる |
笑顔の瞬間を逃さない 親子で撮影を楽しもう
今回の撮影で、「スマイルシャッター」は子どもといっしょに楽しめる機能だということに気付いた。顔認識機能を応用して笑顔を検出し、笑うと自動でシャッターが切れる機能だ。さらに笑顔の検出レベルが「ほほ笑み」「普通の笑顔」「大笑い」の3段階に設定できる。「笑うと自動的にカメラが撮ってくれるよ!」と子どもにいうと、子どもが面白がって、カメラにいろいろな笑顔を作ってくれるのだ。意外な笑顔を引き出すという効果もあった。もちろん目を閉じてしまったなどの失敗を防いでくれるという実用的な面もある。
逆に子どもにカメラを持たしておくと、親の笑顔も簡単に撮影できるので、「うまく撮れるか?」と、いっしょに楽しめるのもいい。もちろん親子そろっての記念撮影も、「ハイチーズ!」と、みんなで笑えばセルフタイマーの代わりになる。わかりづらいセルフタイマーでタイミングがずれてしまったり、硬い表情になりがちの記念写真とはおさらばだ。
顔を認識した状態。「おまかせオート」以外の撮影モードでも使用できる |
「顔検出」は通常のオートのほか、「こども優先」「おとな優先」が選べる |
楽しいスマイルシャッター。これの検出も笑い方を選べるのが楽しい |
スマイルシャッターで撮影。ちょっと笑いが引きつっているのは、スマイルシャッターを何度も試したため |
スマイルシャッターは多少の逆光でもちゃんと働いてくれる |
フレームに2人いる場合は、片方が笑うとシャッターが切れた |
撮影自体が楽しい! スイングパノラマ
サイバーショットに搭載されていた「スイングパノラマ」が、NEX-5にも搭載された。カメラを振りながら撮影すると、連続画像をカメラ内で合成して、1枚のパノラマ写真を作る機能だ。もちろん子どもを入れたパノラマ写真も楽しいが、子どもにとっては撮影そのものがとても新鮮だったらしい。カメラを振りながら「カシャカシャカシャカシャッ!」とものすごい速さで連写し、ちょっと待ってパノラマ写真ができあがるという行為が純粋に楽しいのだ。
カメラを振るのが速すぎたり、スイングする方向を間違うとうまく撮影できない。子どもが自分で撮影して、うまくいくと「できた!」と喜んでいる。スマイルシャッター同様に、「面白い!」と大喜び。コミュニケーションツールとしても十分楽しめる機能だ。