Google I/Oの2日目基調講演、前半にGoogleはモバイルOSの次期バージョンアップとなる「Android 2.2」(コードネーム:Froyo)を初披露した。

この日の発表は、最初から最後までAppleのiPhone OSプラットフォームを強く意識した内容になった。スピーカーを務めたVic Gundotra氏(エンジニアリング担当バイスプレジデント)はまず、初めてGoogleに出社した日にAndroidチームを率いるAndy Rubin氏と交わした会話を紹介した。当時はまだ極秘だったモバイルプロジェクトについて熱く語るRubin氏。しかしGundotra氏は、すでに十分な数のモバイルOSが存在し、オンライン広告を事業の柱とするGoogleがあえて手がける必要はないと思った。

エンジニアリング担当バイスプレジデントのVic Gundotra氏。Google I/Oは"オープン"が大きなテーマであるだけに、GoogleとAppleが対立する面が浮き彫りになった

その疑問をそのままRubin氏にぶつけたところ、同氏は2つの理由を挙げた。1つは「自由に使えるオープンソースの先進的なモバイルOSの必要性」。OEMが自由にハードウエアを設計でき、通信キャリアがユニークなサービスをカスタマイズできる包括的なものでなければならない。その結果あらゆる部分で競争が促され、モバイルの革新が加速する。もう1つの理由は「ユーザーの選択」だ。「もしGoogleが手がけなければ、われわれは独裁者による過酷な未来に直面する。1つの企業(Apple)、1つのデバイス(iPhone)、1つのキャリア(AT&T)しか選択できなくなってしまう」と語ったそうだ。

1984のような独裁君主はわれわれが求める未来ではない

Gundotra氏は、Android 2.2の強化ポイントを「5つの柱」として説明した(iPhone OS 4発表時に、Appleは同OSの中心となる新機能を「7つの柱」とした)。

第1の柱は「スピード」だ。Androidのアプリケーションは原則的にDalvik VMという仮想マシンで実行されている。Androidが新しいチップアーキテクチャを採用することになってもアプリケーションのエコシステムごと移行しやすくなる。プラットフォームの長期的な展望に立って仮想マシンが採用された。パフォーマンスが課題になるが、Gundotra氏は「(Dalvik VMは)十分に高速かつ効率的で、開発者にとっても理解しやすい」とした。それでも、アプリケーションの高速動作への要望はつきない。そこでAndroid 2.2ではDalvik仮想マシンにJITコンパイラを追加した。これによりCPUへの負担の大きいコードが、同じハードウエアでAndroid 2.1の2~5倍も高速に動作する。以下はFroyo(上)とEclair(Android 2.0~2.1)で同じゲームを動作させた比較デモだ。フレームレートが30fps以下になったら画面が真っ赤になる。