Microsoft Online Servicesに含まれる4つのサービス
以上の問題を解決するためにマイクロソフトが提供しているのがMicrosoft Online Services になる。では、Microsoft Online Services を導入すると一体何ができるのか。まずはMicrosoft Online Services の概要を簡単に説明しよう。
Microsoft Online Services は、下記の4つのサービスを含む、クラウド グループウェアである。また、「Microsoft Exchange Online」、「Microsoft SharePoint Online」、「Microsoft Office Communications Online」、「Microsoft Office Live Meeting」の4サービスのセット版は「Business Productivity Online Suite (BPOS)」という名称で提供されている。
マイクロソフトのサーバ製品になじみのある方はお気づきかもしれないが、「Online」と付いている3サービスについては、オンプレミス(内部設置するサーバ)向けにも提供されている製品である。いずれも、「10年以上にわたり提供され、利用者数も100万ユーザーを超えている。信頼性の面では、ほかに劣ることはない」(磯貝氏)ものばかり。その実績ある製品をクラウド形態で利用できるようにしたサービス群がMicrosoft Online Services ということになる。
以下、各サービスを順に見ていこう。
Exchage Online
- Outlookの魅力を引き出すメール・スケジュール管理サービス
上記4サービスのうち、Exchange Onlineは、メール、スケジュール管理、タスク管理、連絡先管理などの機能を提供するサービスだ。Office Outlookの主要機能を使いこなすためのサーバだと考えていただければわかりやすいだろう。
OutlookとExchange Onlineを連携させることで、日常の業務を大幅に効率化することができる。例えば、一般の業務では、会議や打ち合わせなどの開催通知をメールで連絡をもらうことが多いが、「Exchange Onlineを利用すればOutlookのメールアイテムを予定表部分にドラッグ&ドロップするだけでスケジュールに追加することができる」(磯貝氏)。また、タスク管理に関しても、メール画面で専用のフラグを立てたり、スケジュールと同様のドラッグ&ドロップをしたりするだけで、タスクリストへの追加が可能だ。
こうした例からもわかるとおり、Exchange Onlineを利用すると、1日に何度も行うような操作が非常に簡略化できる。面倒なルーチンを省き、本来の業務に集中するための環境を提供するサービスと言ってよいだろう。
加えて、Exchange Onlineには、同社のセキュリティ製品『Microsoft Forefront』がそのまま組み込まれており、迷惑メールやウィルスメールをブロックすることができる。Outlook自体にも迷惑メール対策機能が備わっているため、そちらと合わせて2重の防御網を張ることが可能だ。ウィルス対策のパターンファイルなどもマイクロソフト側で自動的に更新される。このあたりはクラウドサービスならではのメリットである。
また、Outlookが使えない環境のことも想定して、Webブラウザやスマートフォン、さらにサードベンダーのソリューション利用で一般の携帯電話からも使えるようになっている。メールについては、当然、POPやIMAPといった標準プロトコルに対応しており、各種のメールクライアントで取り込むことが可能だが、スケジュール管理やタスク管理についてもOutlook以外から利用できる代替手段がいろいろと用意されている。
例えば、Webブラウザからスケジュール、タスク、メール、連絡先などを操作できるよう、専用のWebインタフェース「Outlook Web Apps」が用意されている。また、モバイル端末に関しては、上記のOutlook Web Appsのほかに、Windows Phoneであればモバイル用のOutlookが利用できるほか、iPhoneやBlackberryを始めとするその他のスマートフォン、また一般の携帯電話に対しても専用のアプリケーションがサードベンダーから提供されている。
このように、Exchange Onlineでは、どこからでもアクセスできる環境が整えられている。これは、「マイクロソフトが標榜する『3スクリーン+クラウド』という開発戦略に合致したもの」(磯貝氏)。ユーザーの利便性を第一に考えて発展させてきた結果である。もちろん、オンプレミス(内部設置)版でも同様の機能が提供されているが、それを有効にするとなると、相応のコストと時間と技術力が必要になるだろう。