マイクロソフトが今、特に力を入れて販売活動を進めているものがある。それが本企画のテーマとなっている"Microsoft Online Services"だ。
提供元がマイクロソフトであるだけに、ご存じない方の中には、新しいOSやソフトウェアを想像する方もいるかもしれない。しかし、実際はマイクロソフトが提供する、SaaSとも呼ばれるクラウド型のグループウェアである。
特に中堅・中小企業に対して多くのメリットをもたらすとされているこのMicrosoft Online Services。では、一体、どのような思想の下に開発され、どのような機能を備えているのか。
以下、マイクロソフト インフォメーション ワーカービジネス本部 ビジネス オンラインサービスグループ 部長 磯貝直之氏の話を基に、そのあたりの詳細をお伝えしよう。
中小企業が抱える「コスト」、「管理」、「セキュリティ」を解決!
まずは、Microsoft Online Services がどのような背景から誕生したのか、簡単に触れておこう。
先述のとおり、Microsoft Online Services は、これまで大規模なIT投資が可能なエンタープライズ企業で多く導入されていたサーバーソフトウェアを、中堅・中小企業でも手軽に利用できるサービスだ。そして中堅・中小規模の会社やグループに特有の課題を様々な角度から解決することができる。
マイクロソフト インフォメーション ワーカービジネス本部 ビジネス オンラインサービスグループ 部長 磯貝直之氏 |
一口に中堅・中小企業の課題といっても、その内容は業種や業態によってさまざまだが、ITに関しては共通する部分も数多くある。以下、代表的なものをピックアップしてみよう。
まずは初期導入コストの問題。ITに捻出できる予算が限られている中堅・中小企業では、例えば、大企業で当たり前のように導入されているポータルサイトやファイルサーバに関しても、検討にさえ至らないところも決して珍しくない。自社にサーバをたてるとなると、百万円単位のコストが必要になる。中堅・中小企業にとって簡単に準備できる額ではない。その結果、「ワークスタイルの変革、業務効率向上に効果があることは理解していても、コストと効果のバランスに悩み、思いとどまる企業が多い」(磯貝氏)という。
また、たとえ初期導入コストが準備できたとしても、システムを管理・運用していける人材がいないという問題もある。サーバをたてると、何かあったときの対処ができる専門知識を持った管理者が必要になる。しかし、総務部でシステム管理を兼務するケースも少なくない中堅・中小企業の場合、そこまでの面倒を見れる人材はなかなかいない。経営者にすれば、「たとえ予算の面をクリアできたとしても、導入に踏み切れないというのが実情」(磯貝氏)だろう。
そして、中堅・中小企業にとって、喫緊の課題であるにもかかわらず、なかなか充分な対策を施せないのがセキュリティの問題だ。例えば、最近では、メールをノートPCやモバイル機器に転送している営業マンも多いが、「端末のメールクライアントにメールを取り込んでいると、ウィルス感染や破損によるデータ遺失のリスクが高い」(磯貝氏)と言える。運用ルールで転送を禁止するというのも1つの手だが、当然のことながら、それだけでは決して万全と言えない。専用アプリケーションも導入し、総合的な対策を図りたいところだが、それにはやはりコストや運用の問題が浮上してくる。
こうした背景から、なかなかITによる業務効率改善に踏み切れなかったというのが実情だろう。