Xcrawlによる独特の操作
前述した通り「HYBRID W-ZERO3」は、スライド式のボディに10キーを備えた一般的な携帯電話に似たデザインを採用している。閉じた状態では円形キーとタッチパネルを使って操作し、文字入力などの際にはキーボードをスライドさせて10キーで入力する。従来モデルのようにQWERTYキーボードは備えておらず、文字入力は少し面倒になっている。
Windows Mobileは、基本的にはスタイラスペンでの利用を前提としたモバイル用OSだ。ソフトウェアキーボードはサイズが小さく、指で高速にタイプするのは難しい。最新版のWindows Mobile 6.5でもそれは変わらないので、「HYBRID W-ZERO3」では、スタイラスを使わない限りはソフトウェアキーボードではなく、10キーを使う形になるだろう。
とはいえ、10キーでの入力に慣れた携帯ユーザーであれば、違和感なく文字入力ができそうだ。日本語入力ソフトとしてシャープの「ケータイShoin」が搭載されており、予測変換機能も備えている。
待受画面は独自の「Willcom UI」を採用しており、現在の日時や情報配信サービス「W+Info」の情報が表示される。画面下部には円形の「Xcrawl Launcher」が表示される。
液晶下部の円形のカーソルキーは、旧モデルでも搭載されていた「Xcrawl(エクスクロール)」を採用している。円を描くようになぞることで、カーソル移動や画面遷移が可能だ。待受画面でXcrawlを利用すると、Xcrawl Launcherがそれにあわせて回転し、メールや電話帳などを簡単に起動できる。
Windows Mobile 6.5では、指を使った操作に適した大きなアイコンを用いたUIも採用されている。しかし、全体的にはまだスタイラスペンを使った操作を前提としており、指先での操作が難しい場面も多々ある。「HYBRID W-ZERO3」では、Xcrawlを使ってカーソル操作ができるので、指とXcrawl、ペンを併用して操作するようにすれば安定して操作可能だ。タッチパネルは感圧式なので、指で軽く触れるよりは、爪先で押し付けるように操作した方が動作は確実だ。指での操作が基本の静電容量式タッチパネルを採用したiPhoneに慣れたユーザーには、ちょっと反応の鈍さが気になるかもしれない。
「HYBRID W-ZERO3」独自の入力装置と言えるXcrawlだが、やや感度が良くない。反応するときと反応しないときがあり、同じ方向に指を回し続けているのに逆回転と認識したり、指定の場所でぴったり止めるのが難しかったりと、うまく操作できなかった。Xcrawl Launcherの動作も緩慢で、Xcrawlは使わずにタッチパネルを使った方が操作しやすかった。
全体的な動作に関しては今一歩という印象だ。「HYBRID W-ZERO3」のCPUはQualcomm MSM7200A(528MHz)だが、Snapdragonの1GHzレベルのCPUが採用されていればもう少し快適だったと思う。
自由にアプリケーションを追加できる
「HYBRID W-ZERO3」には、WordやExcelといったMicrosoft Officeファイルの表示、編集ができるOffice Mobileが搭載されている。スケジュールや連絡先はPCのOutlookと同期することができるため、Windows PCとの親和性は高い。
Webブラウザは、Internet Explorer Mobileの新バージョンを採用している。画面上をダブルタップすると一部を拡大表示し、3.5型の画面でもPC用サイトを見やすく表示できる。画面を指でなぞることでスクロールしたり、リンクを指でタッチしてアクセスするなど、昨今のスマートフォン的な操作が可能だ。
動作スピードやサイトの再現性など、iPhoneなどと比べて劣るような印象もあるが、ひとまずPCサイトを十分実用的なレベルで閲覧できるようになっている。Windows Mobileでは、自由にアプリケーションを追加することもできるため、Opera Mobile 10 Beta 2やFirefoxのWindows Mobile版Fennic alpha 3といったブラウザをインストールすることも可能だ。