マイクロソフトは、次期オフィススイート製品「Microsoft Office 2010」の新機能を解説する説明会を開催した。次期Office 2010では、操作性の改善やパフォーマンスの向上が実現されているという。

Office 2010は、今年6月の発売が予定されているOffice製品の最新バージョンで、現在はベータテストが行われており、同社のサイトから無償でダウンロードできるようになっている。現在までの反応は良好とのことで、「ベータ版にしては安定しているとポジティブな反応が来ている」(インフォメーションワーカービジネス本部Office製品マーケティンググループ部長・田中道明氏)そうだ。

Office 2010開発で目指したことは、日常的な機能の改善とパフォーマンスの向上

田中氏はOffice 2010の開発にあたり、世界に5億人というOfficeユーザーからのフィードバックをもとに機能改善を実施していると話す。特に、Office 2003から導入された「カスタマエクスペリエンスの向上」機能によって、ユーザーから得られた操作履歴のデータは、すでに数TBという膨大な量になり、ヒヤリングなどの調査では現れないこうしたデータから、ユーザーが行う無駄な作業や、操作の迷いなどが分かり、それを分析することで効率性を高める機能改善が行えるという。

Office 2010では、ユーザーが繰り返し使う機能を改善し、パフォーマンスを向上させることを目指して開発されている。より軽快に、効率的に、信頼性が高く、使いやすいといった点に注力しているそうだ。

Office 2010で改善されたパフォーマンス

Outlookでのパフォーマンス向上

パフォーマンスの面では、Office 2010のシステム要件は、現行のOffice 2007と同等になっており、「機能が向上しても、従来と同じシステム要件で動作する。Officeの歴史の中でも初めてのこと」と田中氏。具体的な例では、たとえばOutlook 2010では、一般的なメールボックスの操作で26.2%、企業の大規模メールボックスでは34.9%のパフォーマンスが改善。Outlook 2003と比較してディスクアクセスを82.2%削減しているそうだ。

Excel 2010では、計算速度のチューニングを行い、Excel 2007と複数のケースでテストしたところ、7割のケースで高速に計算できたという。Excel 2007で刷新されたグラフ機能では、より高品位のグラフ作成ができるようになった代わりに、項目数が多くて複雑な表からグラフを作成する際にパフォーマンスが低下していた。これに対しExcel 2010では、グラフィックエンジンを刷新し、グラフのチューニングを行うことでグラフの描画速度が大幅に改善した。実際のデモでは、1万行のデータからグラフを作成して見せ、実際に一瞬でグラフが描画され、その後のグラフ移動やシートの切り替えも軽快に動作する様子が示された。

Excelでのパフォーマンスの向上

また、マルチコアCPUの環境でアルゴリズムの最適化とチューニングを行ったことで、600万個のセルにデータが入っているワークシートを開く際に、Excel 2007と比べて40%近いパフォーマンスの改善がなされ、ネイティブでの64bit対応によって、大規模データでのパフォーマンスが特に向上しているそうだ。「Excelは機能が多いのでメモリを食うと言われるが、必ずしも正しくない。競合と比べ、メモリ使用量やパフォーマンスは優れている」と田中氏。

PowerPoint 2010では、アニメーションやページ切り替え効果のような動的なコンテンツのレンダリングを改善。DirectX 9.0に対応したコアエンジンによってよりなめらかに、きれいに動作するようになったという。

PowerPointのパフォーマンス向上