2ちゃんねるに書き込まれ、ドラマチックな展開で話題を呼んだスレッド「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」が、タイトルもそのままに映画化され、まもなく公開を迎える。
主人公は"マ男"と呼ばれる26歳の元ニート。一念発起して就職活動をした結果、マ男はとあるIT企業に入社が決定する。しかし、そこはサービス残業や徹夜は当たり前という、いわゆる"ブラック会社"だった――。
あらすじだけを見ると何やら恐ろしい雰囲気が漂っているが、実際には元スレッドの雰囲気を忠実に再現したコメディ映画なので安心してほしい。とはいえ物語の舞台となるブラック会社よりさらにブラックな会社なんて現代日本にはゴロゴロ転がっているだろうから、映画の内容に「全然笑えないよ!」という社会人も多そうではあるが……。
さて、本作のストーリーはかなり原作に忠実である。元がかなり長い物語であるため、時間の都合で登場人物を削ったりエピソードを端折ったりしてはいるものの、全体的には原作のイメージを損なうことなく再現できているといっていい。
キャスティングについても特に違和感はなく、一番心配していた主人公"マ男"役の小池徹平も想像以上にハマっていた。考えてみれば主人公は元ニートの引きこもりなのだから、26歳というには若く気弱な雰囲気を持った小池はそれなりに適役かもしれない。
……ただし、本編中にちょいちょい登場する"ニート時代のマ男"に関しては、小池が頑張ってダサ男を演じているのはよくわかるのだが、彼のルックスがあまりにも小綺麗に整いすぎているせいで、いくらボサボサ頭によれよれTシャツを着ていても、もはや"そういうファッション"にしか見えなかった。イケメンなのもそれはそれで大変だな、と思った。
また、原作を読んだ方ならこの物語のオチはご存じのことと思うが、佐藤監督はエンドロール後にあるシーンを追加しており、それが映画版ならではのちょっとした味付けになっている。人によって感じることは異なると思うが、個人的には絶対に必要なシーンであると断言したい。なので、ぜひ本作はエンドロール後まで席を立つことなくご覧いただきたいと思う。