結論

以上、駆け足でRadeon HD 5970の評価を行ってみた。とりあえず現時点では間違いなく最強のグラフィックスカードと言って良いだろう。消費電力はすごいが、これもハイエンドだと思えば許容される範囲。むしろカードサイズや重量の方が問題になるかもしれない。ミドルタワークラスのケースでは、本製品を運用するのはかなり難しいだろうと警告しておきたい。

問題は価格と入手性である。今回事前情報が皆無だったので価格などがさっぱり判らないのだが、Radeon HD 5870の場合が相変わらずの品不足が続いていることもあり、店頭価格は大体4万5千円前後。で、Radeon HD 5970の場合、GPUとメモリチップの数は倍だし、おまけにボード上にPLXのPCIe Switchまで乗せているから安いわけもない。当初価格は流石に9万円まではいかないものの、8万5千円前後になるといった声が聞こえてきており、しかも品薄だから当分価格は下がらないだろう。

確かにトップの性能ではあるが、Radeon HD 5870との性能差がそこまで大きい訳でもない事を考えると、やはりその差に追加の4万円を払えるごく僅かなユーザー向けのニッチ商品、ということになるだろう。同じDual GPU搭載のGeForce GTX 295はもっと安く(店頭価格で5万5千円前後)入手できるが、性能のバラつきや消費電力の多さなどを考えると、そのくらいならRadeon HD 5870の方が(入手できれば)幸せになれると思う、というのが現時点における筆者の判断である。