-- 一方で9月から出荷を開始した「Bento 3」の手応えはどうですか。

グピール氏: この製品も非常に前向きに受け止められています。iPhotoとの連携や、複数ユーザーとのネットワーキングなどに関して高く評価されています。データベースに詳しい人にとってみると、これまでのBentoでは物足りないという声が挙がっていた。それを改善したのがBento 3です。

Bentoはあくまでも初めてデータベースを触るような人、個人でデータベースを管理するための人のものです。今年6月にテンプレートエクスチェンジを導入しました。これを活用してコインの収集家が、ブログで自分のコレクションを紹介したのです。すると、多くの収集家から「どうやってこれを作ったのか」という問い合わせが集中した。いままではExcelで整理していたが、Bento 3を使うことで、写真を使ったり、並べ替えを簡単に行えるようになった。こうしたブログを自分も作りたいというのです。

また、今年5月にBento for iPhone and iPod touchのダウンロードを開始しました。BentoとiPhoneおよびiPod touchとのシンクを実現するなど、利用環境を広げることができた。もともとデスクトップを使っていた人に対して、より使いやすい環境を提案するとともに、逆にこれまではデストクップもMacも持っていなかったという人が、Bento for iPhone and iPod touchをきっかけにBentoの存在を知るという例もあります。データベースというカテゴリーを盛り上げる意味ではいい効果が出ています。販売本数はちょうど10万本を超えたところです。

Bentoの大きな役割に、多くの人にデータベースを知ってもらうという点があります。データベースを使って何ができるのだろうと思う人がまだまだ多い。成功を推し量るとすれば、Macを活用しているより多くのコンシューマユーザーが、データベースを活用して自分の人生や生活を整理できたという事例を、数多く聞けるようになったということでしょうか。新たなユーザーに、どんどんデータベースを使ってもらいたい。

-- Windows 7が好評ですが、これを機にBento 3でWidnows対応を図る予定はありませんか。

グピール氏: Bento 3 on Windowsは一切考えていません。Bentoは、アップルのテクノロジー、とくに、Leopard以降の機能を十分に使えうという観点から開発を始めたものです。Macユーザーであれば、個人用の新たなデータベースにも強い関心を持ってもらえると考えました。また、当社はアップルの子会社ですから、アップルを介して製品を上梓できる。Windows対応を図ると開発コストの点、販売コストの点でも新たな投資が必要になる。ビジネス的な観点からみても、いまは、Bento for Macの取り組みで十分だと考えています。

日本法人の新社長は?

-- 現在日本法人の社長は、ウィリアム・エプリング氏が暫定的に務めている段階です。日本法人の社長はどうなりますか?

グピール氏: 前任の粟倉氏は、私的な理由から退任することになりました。ただ、幸運なことに、今回のイベントを開催できるような強力なチームが日本にはある。このイベントも、粟倉さんの立案によるもので、非常にいいアイデアだったので開催しました。日本の戦略にはまったく変更がありません。現在後任の新たな社長を探していますが、それまでの期間は、私の同僚であるエプリング氏が代わりに社長を務めています。

ただエプリング氏は、2週間は日本にいて、2週間は海外にいるという状況ですから、日本に常駐する、日本人の社長が必要だと考えています。パートナーや顧客にとっては心配だと思いますが、日本法人の日本の社長を必ず見つけることをお約束します。条件は、FileMakerのビジネスや企業文化、パートナーや顧客にフィットする人ということです。優秀な人が見つかればその人を雇用することになりますが、同時に、恒久的に務めてくれる人を探さなくてはならない。我々にとって、日本のマーケットは大変重要です。社長をいつまでに決めるという期限はありませんが、今回の来日期間中にも面談しています。グッドフィットする社長が見つかるまで探します。