モバイルWiMAXとは、(日本では)2.5GHz帯の周波数帯を使った高速無線通信規格だ。下り通信は最大40Mbps、上り最大10Mbpsという高速性が特徴で、ドコモモジュールでは下り最大7.2Mbpsなので、はるかに高速な通信が実現できる。

今回type Pに搭載されたWiMAXモジュールは、下り最大13Mbps、上り最大3Mbpsまでの対応なので、WiMAXの実力を完全に体感できるわけではないが、それでも携帯電話の通信よりも高速だ。

モバイルWiMAXのもう1つの利点は、携帯電話とは異なり、ダイヤルアップなどの接続作業が必要ない、という点だ。WiMAXをオンにしておけば、エリア内に入ると自動的に接続を行って通信可能になるので、ほとんど無線LANと同じ感覚で利用できる。

無線LANと異なるのは、屋外用の規格であるため、1つの基地局がカバーする範囲が広く(数km程度)、公衆無線LANのような「点」ではなく「面」でサービスを提供できる点だ。公衆無線LANは確かに高速だが、基本的には対応店舗や駅などの場所にいなければならないが、面のサービスエリアを展開するWiMAXの場合、屋外や電車の中でも利用できる。

国内でサービスを提供するUQコミュニケーションズは、7月から本サービスを開始し、現在は東名阪地域を中心にエリアを拡大。今年度中には全国の政令指定都市とその周辺にエリアを拡大して人口カバー率を55%に、2010年度末までには全国の主要都市に拡大してカバー率を76%に、2012年には90%以上のカバー率を目指している。

つまり、現時点では携帯電話に比べて通信できる場所が少ないのが欠点だ。地方ではまず使えないし、東京都内でも場所によっては使えない場所もある。自宅や会社など、自分がよく行く場所で使えるかどうかは同社のサイトで確認することができるが、都内のサービスエリア内でも場所によっては圏外になることもある。基本的には駅や人が多い場所はカバーされているようだ。

また、2.5GHz帯を使うため、屋内へ電波が届きにくいという弱点がある。これは電波の原理的な問題なのでどうしようもないのだが、特に大型ビルの内部では、エリア内でも電波は届きにくい。UQでは屋内用のリピーター(中継機)や超小型基地局を開発し、こうした問題に対処しようとしている。

UQのサービスを利用するには、月額4,480円の定額料金で、10月からは24時間単位で利用できる「UQ 1Day」サービスも開始する。この場合は1日600円となる。さらに10月からは、空港や電車内、駅構内で利用できる公衆無線LANサービスも提供し、こちらは月額料金無料。同じようにtype Pに内蔵して使えるドコモの場合、2年間の継続利用前提で1,000~5,985円の2段階定額制なので、UQの方が上限金額は安く、2年間の継続利用も不要なので使い勝手は良さそうだ。