消費電力では、やはりトランジスタ数が減少したぶん、ピーク時でおよそ20W、アイドル時でも2~3W低い結果となった。なお、Phenom II X4 945(3.0GHz)がTDP 95Wで登場しており、今回クロック調整したPhenom II X4もおよそ95Wクラスと仮定している。Athlon II X4は、65W版ほどではないにせよ、低消費電力PC向けのクアッドコアCPUとして代用できるのではないだろうか。
Phenom II X4相手でも意外と健闘するPropusコア
PCMarkのように、音楽やコミュニケーション、オフィスソフトによる生産性など、一般的なPCの使い方でベンチマークをとってみると、大容量L3キャッシュが有効に効くシーンというのは、実際にはあまり多くないのではないかという印象を受ける。もちろん、CINEBENCHで200MHz相当の差として現れたとおり、両製品の差は確実に有るわけだが、メインストリーム層、そしてOEMなどを考えればニーズはより低コストな製品へと向くだろう。メインストリーム層が主に用いるアプリケーションに合わせて、十分な性能と低コストを両立したのがAthlon II X4と言えそうだ。
もちろん、ここまでPhenom II X4の性能に迫ってしまうと、AMDのマーケティング的には難しいものがある。Athlon II X4のクロックが2.8GHz、2.6GHzと控え目であるのはそのあたりも影響しているのだろう。参考価格はAthlon II X4 630がおよそ12,980円、620が10,980円。上位に位置するPhenom II X4 810(2.8GHz)とAthlon II X4 630とは1,000円ほどの差で落ち着いたようだ。なお、1コアあたり価格という計算をしてみると、Athlon II X4 630が3,000円強、620は3,000円以下となる。IntelのクアッドコアCPUがまだ1万円台後半に設定されているなか、Athlon II X4は5,000円近くクアッドコアの敷居を引き下げることになる。「クアッドコアが当たり前」になるのか、今後の動向に注目したい。