クレッセント社ブース~超広視野角のLCOSプロジェクタ搭載の最新HMD

クレッセント社ブースではLCOSプロジェクタを搭載した広視野角HMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)「HEWDD-768」を使ったバーチャルリアリティのデモンストレーションを行っていた。

HEWDD-768(HEWDD:Highe End Wearable Display Device)は頭に被って装着するいわゆるHMDだが、一般的なHMDと違い内部側の液晶パネルを見るのではなく、内蔵された小型プロジェクタから投射された映像を内部に実装されたスクリーンで見るというユニークなデバイスだ。

小型プロジェクタを2基内蔵したHMD「HEWDD-768」

投射式にすることのメリットは多い。

1つは画角(視界)を広く取れるという点。一般的な小型液晶ディスプレイパネルを使用したHMDでは、画角は水平/垂直がせいぜい30°前後で、ちょっと離れた場所にあるテレビ画面を見る……というような感覚だ。

一方、HEWDD-768では水平140°、垂直90°という広さで、これはほぼ眼球を動かして見える視界の大部分をカバーするため、圧倒的な没入考えられる。モーショントラッキング技術と組み合わせることで、被験者が首を動かせばそちらの情景もリアルタイムで見えるため、まさにCG空間に入り込んだ感覚が得られるのだ。

2つ目は圧倒的な高解像感。小型液晶パネルを使用したHMDでは、ディスプレイパネルの各ピクセルがRGB、3つのサブピクセルからなるため、ピクセルの分離感が出てしまう(通常の液晶パネルと同じ)。しかし、投射式だと各ピクセルがフルカラーで、そのまま表示されるため、"映像パネルを見ている"という感覚がなく、良好な解像感が得られるのだ。

デメリットもないわけではない。

HEWDD-768では、小型プロジェクタとはいえ、これを2台内蔵するため、さすがにその光源ランプをこのヘッドユニットに内蔵することが出来なかった。従ってプロジェクタの光源は別体型の光源ユニットボックスから光ファイバによってヘッドユニットへ供給される。この構造により、HEWDD-768を取り付けた被験者は、この光ファイバーケーブルの有効範囲でしか動けない。この点は、今後、改善されるべき課題となっているようだ。

プロジェクタの光源は光ファイバーで供給される

HEWDD-768に内蔵される小型プロジェクタのディスプレイパネルはLCOS(Liquid Crystal on Silicon:反射型液晶)パネルで、その解像度は1,280×768ドット(片目あたり)。映像はホストPCからDVI-D端子(×2、左右の目用)経由で伝送される。

HEWDD-768は、大きさのわりには軽くヘッドユニットの重量は1.95kg。2007年に公開された第一世代機では約3.5kgあったので、約半分近い軽量化に成功している。

価格は基本システムが840万円だ。