ボーナス商戦に向けた3社の戦略が明らかになったケータイ業界。各社ともに新規ユーザーを増やしたいのは山々だろうが、すでに国内のケータイ市場は飽和状態にあり、飛躍的にユーザーを増やしていくのは困難。「既存のユーザーの満足度を向上させて、ARPU(1人あたりの通信料)を上げて収入増につなげたい」というのが各社の本音であろう。
ドコモの場合、夏モデルの発表に先駆けて、顧客満足度の向上を目指す取り組みを発表している。そのひとつが「パケ・ホーダイ ダブル」の下限額の値下げだったが、パケット定額制の加入者を増やし、拡張したiモードサービスや動画コンテンツで、着実に上限額まで使わせたいという狙いが見られる。
ほかに「ファミリー割引」「オフィス割引」のグループ内メールの無料範囲を拡大したり、「ケータイてんけん」などサポートサービスの拡張も進めている。月額使用料が安くなるバリューコースや、端末代金の分割払いの導入により、「ドコモは高い」という印象は徐々に薄まってきているように思うが、価格の見直しと同時に、ドコモの優位性をアピールすることでユーザーを囲い込みたいところであろう。
昨年度の純増者数が4位に下落したauは「原点回帰」の傾向が見られる。かつて他社に先行して提供した音楽サービスや、au design projectなどの取り組みでユーザーを増やした栄光を取り戻すべく、独自色を打ち出してきている。
導入初期段階では不評が多かったKCP+だが、1年以上の経験を経た結果、処理速度やキーレスポンスなどは改良されてきている。KCP+はメーカーにとって開発コストを抑えられるメリットがある反面、ユーザーには「どれも同じような使用感に感じる」というデメリットもある。今夏モデルは、KCP+を利用するauケータイ共通の利便性よりも、むしろ端末個々のオリジナリティをアピールするラインナップになっており、ユーザーはいい意味で「どのモデルに機種変更しようか」と悩むことができるであろう。