5月下旬、携帯電話事業者大手3社が相次いで夏モデルを発表した。携帯電話の販売台数が伸び悩む中、NTTドコモは18機種、au(KDDI)は13機種(発表済みのiidaブランドと法人向け機種を含む)、ソフトバンクモバイルは19機種(通信モジュール内蔵パソコンとデジタルフォトフレームを含む)を発表し、例年以上に賑やかなラインナップとなった。

5月下旬に行われた2009年夏モデルの発表会。3社合わせて50機種の新モデルが発表された

また、今シーズンは端末だけでなく新しい動画コンテンツや料金改定など、サービスに関する発表も多かった。市場が飽和していると言われるケータイ市場はどう動くのか? 今後の業界動向を展望する。

ドコモは、昨年冬から導入した新しい4シリーズで夏モデルを展開し、STYLEシリーズを6機種、PRIMEシリーズを6機種、SMARTシリーズを2機種、PROシリーズを3機種発表した。また、これらとは別にPRIMEシリーズのSH-06Aをベースに「ヱヴァンゲリヲン」とタイアップした「SH-06A NERV」も用意し、話題を集めている。なお、今後も売れ筋のSTYLE、PRIMEを中心にラインナップを強化し、SMARTとPROは「発表時期によっては端末数が少なかったり、用意しないこともあり得る」(ドコモ広報部)としている。

今回発表された機種の中で最も注目を集めているのは、Googleが中心となって開発されたOS「Android」を搭載した「HT-03A」だ。Googleのオンラインサービスとの親和性の高さをウリにしたスマートフォンで、「ケータイするGoogle」というキャッチコピーも掲げている。山田隆持社長は、他社に先駆けてAndroidケータイを投入することについて「大きなインパクトになるだろう」と自信を見せた。

日本初のAndroid搭載モデル「H-03A」を手に自信を見せるドコモの山田隆持社長

ヱヴァンゲリヲン携帯こと「SH-06A NERV」は、すでにドコモショップ事前予約分は完売。当初20,000台を予定していたドコモショップ予約分だが、7,500台多い、27,500台となった

ドコモは昨年夏のブランド刷新以降、ユーザーの声に応えて顧客満足度を向上させていく方針を示してきた。端末のラインナップの拡充に加えて、サービスを強化する傾向も顕著になってきている。5月から「パケ・ホーダイ ダブル」の下限額を490円に値下げしたが、料金サービスにおいて、ドコモが他社に先行して値下げを行う例は過去にはなかったように思う。

夏モデルの発表に合わせて、iモードブラウザの機能拡張も発表された。従来最大100KBだったページサイズが最大500KBになり、JavaScriptやCookieにも対応。動画付きの画面を表示できたり、サイト上のテキストコピーもできたりするので、機種変更をしてから使い勝手が向上していることを気づくユーザーもいることだろう。