「Pine Trail-M」搭載ネットブックの試作機も登場
Mooly Eden氏は、基調講演後に行ったプレスカンファレンスにおいて、モバイルプラットフォームに関してさらに詳細な解説を加えた。まず、Montevina Plusプラットフォームについては、電力管理技術をさらに向上させたことで、パフォーマンスの向上と低消費電力化の両立を実現したという。同氏はこれを「HUGI」(Hurry Up & Get Idle)と呼び、大きなCPUパワーが必要となったときには素早く高パフォーマンス状態に、処理が終了するとただちにアイドル状態に移行するため、同じタスクを与えた場合でもMontevina Plusではより速く、より少ない電力で処理を完了できるとしている。
文書作成や動画エンコードなどさまざまなタスクを連続して実行するテスト。最新のCore 2 DuoであるT9900(3.06GHz・L2キャッシュ6MB)は、Core Duo最上位のT2700(2.33GHz・同2MB)と比べほぼ5割増しの性能を持ちながら、消費電力は約45%オフとなった |
Atomプラットフォームのリリースから1周年を迎え、現在ではこれを採用したネットブックと呼ばれる低価格ミニノートPCは世界で75機種以上に上り、販売台数は2,000万台を突破した。ネットブックは従来のノートPC市場を侵食するものではないかと懸念する見方もあるが、「ネットブックはインターネットの利用やコンテンツの再生に特化している」(Eden氏)製品であり、既存のノートPCとは補完的な関係だと強調。ユーザーの大部分はネットブックを「セカンドPC」として使用しており、同社の調査でも既存のノートPCがさまざまな用途で幅広く使われているのに対し、ネットブックはWebブラウズやメールに特化した使われ方をしていることが分かっているという。
そうは言っても、より高いパフォーマンス、より長いバッテリ駆動時間が求められるのは、ネットブックも既存のノートPCも同じである。Eden氏は、その需要に応える新たな製品として、開発コードネーム「Pine Trail-M」として呼ばれる次世代Atomプラットフォームのブロックダイアグラムを披露した。現在のAtomプラットフォームではチップセット側に含まれるメモリコントローラ(DDR2)とグラフィック機能が、Pine Trail-Mでは「Pineview-M」(開発コードネーム)プロセッサに統合され、その他のインタフェースは「Tiger Point」(同)と呼ばれるI/Oコントローラーに集約される。チップ数の削減によりコスト低減と設計自由度の向上も期待できる。
カンファレンスでは、Pine Trail-Mを搭載したネットブックの試作機が展示されていた。CPUの動作周波数は1.66GHz、メモリ容量は1GBと、現行ネットブックで主流のスペックと共通であることが確認できたが、操作が許されていなかったためそれ以上の詳細は不明。ただし、画面にはSuper πの動作結果が表示されており、それによれば104万桁のπ計算にかかる時間は1分28秒で、同一クロックでも現行プラットフォームから1割程度の性能向上があると見られる。統合されるグラフィック機能の性能についてEden氏は「より強力(stronger)」とだけコメントしている。