保守・運用管理効率を上げることがブレードサーバのメリットの1つですが、そのキモになるのが管理ツールです。

ブレードサーバでは、管理専用のモジュールをシャーシに搭載できるため、システムの温度や電力の状況、ハードウェア構成、ネットワーク構成などを一元管理することができます。また、管理モジュールそのものを二重化(冗長化)できる製品もあります。

管理ツールの多くは、Webブラウザ上で操作できるGUIを持っており、説明書がなくても操作できるようになっています(図6)。さらに、サーバブレードや各種モジュールの設定が簡単に行え、新しいサーバやモジュールの追加・交換を実施しても自動で感知し、設定を自動修正する機能も備えています。

なお、管理ツールはベンダーや製品によって利用できる機能に違いがあるので、これもブレードサーバ選びのポイントの1つになります。ここでは、ブレードサーバに用意されている主な管理ツールを紹介しておきます。

図6 管理ツールはWebブラウザ上で操作するものが多い(写真は日本ヒューレット・パッカードの「HP Onboard Administrator」)

ハードウェア状態監視ツール

これは、シャーシやサーバブレード、搭載しているモジュールの搭載状況や障害の有無の管理、設定変更などを行うツールです。

ブレードサーバはラックマウントサーバと異なり、複数のサーバの状況を一元管理ができるため、管理者への運用の負担を減らすことが可能です。

電力・温度監視ツール

Q1の項目でも触れましたが、高密度で多くのサーバブレードを搭載するブレードサーバは、多くの電力が使われ、熱ごもりがしやすいサーバでもあります。そのため、多くの管理ツールには、ラックレベルでの電力使用量やシャーシに出入りする空気の温度などを監視する機能があります。

また、消費電力を抑えたり、サーバブレードの搭載数により、使用する電源やファンを制御する機能を持つものもあります。

設定自動化ツール

ベンダーによって異なる部分もありますが、ブレードサーバでは、サーバの増設が簡単に行えるようにするツールが用意されています。

Q1の項目で述べたような「既存のサーバイメージを取得し、それを配布することによってOSインストールを省略、ネットワーク設定作業を簡略化する」といったことも、管理ツールによって実現できます。また、OSやアプリケーションのインストールを複数のサーバに対して一括で行えるものもあります。

これらのツールを使うことにより、サーバ導入時の工数の削減やリソースの有効活用が行えるというわけです。

リモートKVM機能

最近はオフィスなどに設置できるものも登場していますが、ブレードサーバの多くは、データセンターやサーバルームなど、専用の施設内のラックに搭載することを想定して設計されています。そのため、管理者が離れた場所にある事務所などから作業ができるように、リモートKVMの機能(リモートKVMスイッチ)が搭載されることが多くなっています(※9)。

これにより、複数のサーバブレードのコンソールの一元管理、ネットワーク経由のリモート管理、サーバブレードごとの電源オン/オフ操作やBIOSの設定変更などが可能です。また、リモートPCのCD-ROMやFDDを使って、インストール作業などを行うこともできます。

※9 リモートKVMスイッチ:リモートKVMスイッチとは、複数台のブレードサーバを1台のキーボード、ビデオ(モニタ)、マウスをネットワーク経由の遠隔操作によって使うことができる接続機器のことを言います。KVMは、Keyboard、Video、Mouseの略です。