最後に、「FMV-BIBLO LOOX U/C30」最大の特徴とも言えるXPの使い勝手について、Vistaモデル「FMV-BIBLO LOOX U/B50N」と比較しながら検証してみよう。

■U/C30とU/B50Nのスペックの違い
型番 LOOX U/C30 LOOX U/B50N
OS Windows XP Home Edition Windows Vista Home Premium
CPU Intel Atom Z520(1.33GHz) Intel Atom Z530(1.6GHz)
メモリ 1GB 1GB
液晶 5.6型ワイドWXGA(1,280×800ドット) 5.6型ワイドWXGA(1,280×800ドット)
HDD 60GB 60GB
通信機能 IEEE802.11a/b/g/n、Bluetooth IEEE802.11a/b/g/n、Bluetooth
重量 565g 565g
バッテリ駆動時間 約6時間 約5.3時間

スペック上では、両者の違いはCPUとバッテリー駆動時間が異なる程度だ。VistaはXPに比べ消費電力が高いため、XPモデルのほうが40分程度バッテリーが長持ちする仕様になっている。

「LOOX U/C30」のシステムのプロパティ。Home EditionのSP3が搭載されている

OSの起動時間に関しては、Vistaを搭載した「LOOX U/B50N」の平均起動時間が1分前後なのに対し、「LOOX U/C30」では約30~40秒程度とかなり速い。急に必要になったときでもスグに使えるのはうれしいところだ。

OS操作時のレスポンスに関しても、「LOOX U/C30」に軍配が上がる。Vistaの「LOOX U/B50N」はややモッサリした動きで、各動作に一瞬の間があるのを感じた。それに対してXPモデルの「LOOX U/C30」では、全体的にサクサクと軽快に動作する。しかも、今回はシステムのチューニングを行なっていないので、設定を変えればもっと快適に動くようになるだろう。

「LOOX U/C30」のデスクトップ画面。全体的に動作は軽快だ

両モデルともメモリは1GBであるが、VistaとXPでは1GBの重さが異なる。Vistaはメモリを大量に積んでいたほうが有利であり、キビキビ動かしたいなら2GBは必要だ。一方のXPでは、1GBあれば十分軽快に動作させることが可能である。また、メモリ管理の面以外でもXPのほうが処理が軽いため、全体的にXPのほうが軽快に感じられるのだ。その結果は、ベンチマークにも表れている。

■PCMark05によるベンチマーク結果
型番 LOOX U/C30 LOOX U/B50N
CPU 1211 1166
メモリ 1877 1865
HDD 2584 2532

それぞれの差はわずかにしかないが、すべての項目でXPモデルがVistaモデルを上回る結果となった。ちなみに、「LOOX U/C30」で「FFベンチ」のLowモードのベンチマークを行なったところ、605という結果が出ている。

実際には「LOOX U/B50N」には専用コネクタが付属するなど、スペックやベンチマークには表れない特徴がある。どちらを選ぶかは好みの問題だが、サクサク感を重視するなら断然XPを搭載した「LOOX U/C30」を選ぶべきだろう。

まとめ

今回のレビューで、「LOOX U/C30」は「実用的なUMPC」であると感じた。ただ小さいだけではなく、ギュウギュウ詰めのカバンの中でも耐えうる堅牢さや、緊急事態でもスグに使えるレスポンスの良さを兼ね備えた、質実剛健なマシンである。XPを使い慣れた人にとっては、同じOSを使える点も心強いだろう。日常的に使えるUMPCを選ぶなら「LOOX U/C30」はかなりオススメだ。

■仕様
型番 FMV-BIBLO LOOX U/C30
CPU Intel Atom Z520(1.33GHz)
チップセット Intel システム・コントローラー・ハブ
メモリ 1GB(最大1GB)
HDD 60GB
光学ドライブ なし
グラフィックス Intel GMA 500(チップセット内蔵)
ディスプレイ 5.6型ワイド液晶(1,280×800ドット)
オーディオ High Definition Audio
ネットワーク IEEE802.11b/g/n
インタフェース USB2.0×1、SDメモリーカードスロット、CFカードスロット、Bluetoothほか
バッテリ駆動時間 約6時間
サイズ/重量 約W171×D135×H26.5~33.0mm/約565
OS Windows XP Home Edition
直販価格 89,800円

高橋量(デジタル・コンテンツ・パブリッシング)