取り外したフレームにはマザーボードや通信モジュールなどがビスで取りつけられている。基板類はそれぞれが複雑に組み合わさっており、余分なスペースはまったく見当たらない。
鈴木「type Pは設計段階から薄さを19.8mmにすることを目指していました。どうせなら10の位を"1"にしたいということで(笑)。ただ、そのため設計的にはかなり苦労しています。特に、type Pの場合はバッテリがキーボードの下に重なるような構造になっていて、そのスペースはほかのパーツに割けないんですね。しかもパームレストもない。だから、大きな部品を入れるスペースがほとんどなく、ハードルは非常に高かったと言えます」
鬼頭「どういう組み合わせにすれば収まるのか、何度もモジュールを並べ替えたりもしました。そのあたりの調整は、普通のノートPCのときよりも、かなり細かく詰めています」
なお、モジュールと一口に言っても、通信モジュールのように、ベンダーから購入するものもある。こういったモジュールは自社開発するパーツとは異なり、最初から大きさが決まっている。そのため、厚みのあるモジュールの背面に薄いモジュールを配置する、といった具合に基板を組み合わせ、狭いスペースに収まるように工夫したという。
伊藤「今回のtype Pは、本体前面にメモリーカードスロットを搭載しています。そのためのスペースも必要でした。そこで、マザーボードもかなり工夫をしています」
鈴木「メモリーカードスロットを搭載する位置を確保するため、マザーボードはチップ類のほとんどを表に配置し、裏面に空きスペースを設けているんです」
もっとも、これだけ密度の高い内部構造だと、どうしても入らないパーツも出てくる。しかし、機能は削りたくない。そこで、これまでの一般的なノートとは別の視点で工夫することも必要になった。
鈴木「そのひとつが、ファンレスですね。ファンを入れるかどうかという以前に、ファンを入れるスペースがなかったんです(笑)。そこで、非常に薄型のヒートパイプを使うなどしてセンターシャーシのマグネシウムに熱を伝え、自然に排熱されるように工夫しています。また、ボトムにも熱を逃がすためのシートをつけたり、ファンレスなのに吸排気用の穴を設けたりもしています」