バンクーバーの北東約120kmにあるマウンテンリゾート、ウィスラー。国際的にも評価が高く、 「スキーヤーの聖地」と賞賛されるほど人気なスキーリゾート地だ。国際的にも評価が高く、『Skiing Magazine』の2007年のスキーリゾート地ランキングでは1位に名を連ねている。

バンクーバーからウィスラーへと続く国道99号「Sea to Sky Highway」。現在、五輪に向けて、車線の拡大工事が進められている

バンクーバーからウィスラーへは、海沿いを走って山へと昇る道「Sea to Sky Highway」で約2時間。入り組んだフィヨルドの海を横目に、氷河の山々を見渡しながら走る、カナダならではのドライブが楽しめる。ウィスラーで開催される競技は、アルペン(ダウンヒル、スーパーG、グランドスラローム、スラローム、複合)、ノルディック(バイアスロン、クロスカントリー、ノルディック複合、スキージャンプ)、ボブスレー、リュージュ、スケルトンと盛りだくさん。バンクーバー五輪のもうひとつの顔となる、ウィスラーを訪れてみた。

バンクーバーからウィスラーへは「ウィスラー・マウンテニア号」と呼ばれる人気の鉄道もある。海と山々の美しい自然を見ながらゆっくりと旅をすることができ、往路はシャンパンやカナディアンブレックファースト、帰路はアフタヌーンティーが振舞われるとあって、優雅な旅が楽しめる。所要時間は3時間で、片道$119~。運行は、5月から10月初旬まで。五輪時には運行される予定。

バンクーバーからウィスラーを繋ぐ「ウィスラー・マウンテニア号」。山々の絶景を眺める人気の鉄道だ
(C)Great Canadian Railtour Company Ltd.

ウィスラーはもともと1966年に、2年後に控えていた冬季五輪の誘致のために開発されたスキーリゾートだ。結局、五輪開催地は仏・グルノーブルとなり、実現しなかったが、「オリンピックのために誕生したリゾート」はその後も開発が進められ、カナダ随一のウィンターリゾートとして発展した。ウィスラー山とブラッコム山という2つの山を備え、麓には高級ホテルやレストラン、ショップが並ぶビレッジが形成されている。今回、オープン以来の積年の願いが叶って五輪が開催されることになり、街はバンクーバー以上の盛り上がりを見せていた。

中でも象徴的なのが、12月12日にオープンしたウィスラー山とブラッコム山の山頂付近を結ぶゴンドラ「Peak2Peak」。全長4.4kmをわずか11分で結ぶこのゴンドラは、世界最高の地上436mを通過すること、さらに約3kmを支柱なしでつなぐことでも世界最長記録を達成。28機のキャビンのうち、2機は床にガラス面を備えており、谷間を渡るスリル満点の景色を眺めることができる。オープンの日はあいにくの雪で景色は見えなかったが、歴史的なゴンドラオープンに際する関係者たちの思い入れと熱気は伝わってきた。

\

世界各国からメディアが集まった「Peak2Peak」のオープンイベントにて。ゴンドラをつけた華やかな衣装のミス・Peak2Peakやミス・ウィスラーが会場を盛り上げた

ウィスラー山では、ゆるやかな初心者向けから上級者向けのハードコース、国際大会の試合会場ともなった名物コースなど幅広いコースを楽しむことができる。一方、お隣のブラッコム山はコブ斜面や急斜面など世界有数の難易度を誇る比較的上級者向けのスキー場。このたびの「Peak2Peak」の完成により、ウィスラー山とブラッコム山を合わせて200本以上ものコースを縦横無尽に滑り下りることができたのは、スキーヤーにとって朗報だろう。

氷河を抱く山々を見渡しながら、大自然の中を滑り下りる爽快感は格別。バージンスキーを体感できるヘリスキー(730$~)などもあるので、スキー・スノボファンならぜひ一度は訪れてみてほしい。

一面に連なる山々を見下ろすウィスラースキー場。カナダならではのパウダースノーと多彩なコースでスキーファンを魅了している。
(C)Tourism BC/Randy Lincks

ウィスラーがスキーリゾートとして世界屈指の魅力を誇ることは間違いないが、各地に優れたスキー場を持つカナダでは、海に近いウィスラーよりも内陸の山のほうが湿気の少ないパウダースノーが堪能できるというのも事実。だが、五輪開催地としてウィスラーが選ばれた理由には、バンクーバーからほど近いアクセスのよさと、リゾートとして高い完成度をもっていることがあげられる。スキー以外にも、スノーシュー、犬ぞり、ヘリコプター遊覧などスキー以外のウィンターアクティビテイーが充実し、近年ではノンスキーヤーのゲストも多い。アートフェスティバルや大道芸などの催しも多く、バカンス気分が味わうことができるとあって、ハリウッドスターなども集う人気のリゾート地なのだ。長期滞在するゲストが多く、ホテルはキッチンや暖炉の付いたスイートタイプが一般的。日中はスキーを楽しみ、夕方からはプールやジャクジーでくつろいだり、洗練されたバーやレストランやスパを満喫するのがウィスラー・ステイの醍醐味。主催者側には、五輪を見に来た観光客にカナダ随一のウィンターリゾートを紹介し、試合以外の魅力を楽しんでもらいたいという意図がある。

スキー後のウィンター・バカンスが満喫できるウィスラー・ビレッジ。寿司店などの日本食レストランも人気だ。
(C)Tourism BC/Randy Lincks

(左)ビレッジで人気のスポーツパブにて。海の幸を使ったメニューが豊富で、分厚いマグロを使った迫力のバーガーはカナダならでは(上)ウィスラーでは多彩な地ビールも人気。バーで頼んだ地ビールのテイスティングセットが7種類で1,000円強だった