携帯がオープンプラットフォームになった日
今回のG1がSidekickと大きく異なるのは、ソフトウェアが最初からオープンなプラットフォームな点で、G1のハードウェア開発を担当した台湾HTCがあくまでAndroid搭載携帯をリリースするベンダーの1社ということだ。Sidekickもハードウェア開発は複数のベンダーが携わっていたが、今回はAndroidそのものが完成品の携帯電話ではなく、あくまでSymbianやWindows MobileといったOSのひとつとして自由にベンダーが開発に参加できる点で異なる。Googleは2007年11月にAndroidプロジェクトを一般公開するとともに、Open Handset Alliance(OHA)設立をアナウンスすることでベンダーが自由にAndroidを用いた携帯プラットフォームを開発できる環境を提供している。
OHAはその名のとおりオープン性を前面に押し出しており、ソフトウェアの仕様は全面的に公開されている。Androidはコア部分がLinuxで、Googleが開発した部分はApache Licenseでソースコードが提供される。これにより、ハードウェアとソフトウェアの両ベンダーともにOHAの開発に参加して、自由に同プラットフォームを利用した携帯電話をリリースできる。この点が従来のブラックボックス化されたOSシステムと異なる点となる。前述のHTCもOHA設立メンバーの1社であり、それに対応した初の携帯をリリースしたベンダーとなる。OHAには他にもLGやSamsungといった携帯電話メーカー大手が名を連ねており、将来的にラインナップが充実してくることになるだろう。「オープンな環境が未来のモバイルインターネットの世界を作り上げていく」とBrodman氏はコメントしている。
イベントの最後にはスペシャルゲストとして、Google創業者の2人であるLarry Page氏とSergey Brin氏が登場。Page氏はG1について「Geekがいろいろいじれる携帯」と表現しており、自分の思いついたアイデアをどんどん携帯電話に投入してカスタマイズできる点をアピールした。一方でBrin氏は「ノートPCをどこまでも持ち歩くのはたいへんだが、この携帯なら必要十分な機能を備えつつ、持ち歩くのに最適だ」とコメントしており、高機能なモバイルデバイスとして評価している。
余談だが、米GoogleはG1発表会イベント開催と同日の23日に、米ニューヨーク市のMetropolitan Transit Authority(MTA)と共同で同地区のバスや地下鉄の乗り換え案内サービスの提供を発表している。ニューヨーク中心部のGrand Central駅で開催された発表会セレモニーにはPage氏とBrin氏の両名が参加しており、Googleの新サービス「Google Transit in New York」を紹介している。G1で出先からGoogle Transitを使ってニューヨークでの移動プランを立てるのも面白いかもしれない。